2014 Fiscal Year Research-status Report
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24593270
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
高谷 嘉枝 徳島文理大学, 大学院看護学研究科, 教授 (60304119)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 変革的リーダーシップ / 看護師長 / 看護管理 / モデル開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、平成25年度に取り組んだ変革的リーダーシップ尺度案の質問項目の抽出・作成をもとに、看護管理学修士を修了した看護管理者や臨床現場でキャリアを積んだ看護の専門家達による検討と専門的立場からの意見交換を踏まえ、再度臨床現場における変革的リーダーシップについて文献データベースを利用して国内外の研究を検討した。続いて尺度案の検討後、平成27年度4月以降も継続しているパイロットテストに取り組んだ。 これまでの結果ではKouzes&Posner(1988)をはじめとする欧米の研究者達が述べている変革的リーダーシップの「共通のビジョンに動機づける」「現状の打破に挑戦する」「信頼を培う」「意欲を支える」「目標達成に自ら規範を示す」「成功への行動を支援する」行動内容のほかに、日本の臨床現場で培われた師長の強い学習意欲の継続、日本の医療の変遷の中で試練を乗り越えてきた経験、本格的な看護基礎教育の大学化以前に育成された師長が肯定的な自己観をもち創意工夫をこらした行動をとっている内容、師長の看護師としての一貫した自負ともいえるような自信・誇りをもとにした変革をもたらすリーダーシップの内容、病棟やユニット単位で師長が場をおさめる内容などが見出されている。欧米の変革的リーダーシップとは異なる日本における変革的リーダーシップの手掛かりが示唆されていると考えられ、これらの結果を尺度案に反映していく計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成26年度の当初計画は、質問項目の抽出・作成、内容妥当性の検討とパイロットスタディによる表面妥当性の検討、本調査を行う予定であったが、尺度案1をまとめる段階で再度国内外の研究の検討に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、現在実施中の尺度案作成1の後、尺度案作成2、本調査、モデルの提示を行う。 尺度案作成1:パイロットスタディは、看護スタッフ20名程度とし表面妥当性の検討を行っている。尺度案作成2:プレテストは、看護スタッフ200名程度に対し無記名による質問紙調査を実施し、質問項目の精錬を行う。 本調査:病院10ヶ所の看護スタッフ1,000名程度に無記名による質問紙調査を行う。施設の看護部長の研究協力の承諾後、看護スタッフへの説明の場を設け調査用紙、返信用封筒を配布し郵送で回収する。質問紙の構成は、「日本における変革的リーダーシップ尺度案」 ①「看護師の自律性尺度」(菊池ら,1997)と、②「看護師の職務満足尺度」(Yamashita,1995)を用いる。 「日本における変革的リーダーシップモデル」の提示:1.分析:次の内容について、統計処理を加え分析する。1)項目分析、2)因子分析:探索的因子分析及び、検証的因子分析、3)信頼性の検討、4) 妥当性の検討:(1)基準関連妥当性は看護師の自律性尺度、看護師の職務満足尺度との関連、(2)構成概念妥当性:本研究の因子分析の結果と最初設定した構成概念との相違の検討 2.日本における変革的リーダーシップモデルの提示: 1.での分析後、「日本における変革的リーダーシップモデル」を提示する。 平成27年度は、補助事業期間延長承認のうえ研究を継続している。
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Causes of Carryover |
これまでの研究段階において看護スタッフへの半構成的面接後、変革的リーダーシップの質問項目の抽出の段階において変革的リーダーシップの構成概念及び、信頼妥当性が検証されている既存の尺度で抽出された興味深い項目を加え質問項目を作成したが、分析と質問項目検討の結果、再び半構成的面接を実施し、時間を要し予定より遅れたため未使用金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、尺度案作成のためパイロットスタディ・プレテストを経て、本調査を行う。パイロットスタディは、看護スタッフ20名程度、プレテストは、看護スタッフ200名程度、本調査は全国規模で看護スタッフ1000人を対象に考えている。データに統計処理を加え分析し、モデルの提示を行う。このため未使用金を人件費用・謝金、物品費、旅費に用いる。
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