2012 Fiscal Year Research-status Report
在宅看護における対応困難事例、暴言、暴力の現状と対策に関する研究
Project/Area Number |
24593282
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 神戸常盤大学短期大学部 |
Principal Investigator |
武 ユカリ 神戸常盤大学短期大学部, その他部局等, 講師 (00363581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金川 治美 神戸常盤大学短期大学部, その他部局等, 教授 (50233870)
西出 順子 神戸常盤大学短期大学部, その他部局等, 講師 (80530724)
小坂 素子 神戸常盤大学短期大学部, その他部局等, 講師 (40530720)
會澤 久仁子 独立行政法人国立循環器病研究センター, その他部局等, 研究員 (80530162)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 在宅看護 / 困難 / 暴言 / 暴力 / ハラスメント / 看護管理 / リスクマネジメント / 職場環境 |
Research Abstract |
平成24年度研究実績概要は次の3項である。 1)文献調査:医中誌Web版ver.4を用い2012/4/9にキーワード検索を実施した。検索キーワードは#1(対応困難、困難事例等)と#2(訪問看護、在宅看護等)で、#3(退院困難等)を除いた。検索結果54件の文献が該当し、内28件を対象に内容を検討した。検討はマトリックス方式で12項目(発行年月日、報告者の職種、職位、学術分野、困難の要素・内容等)を整理した。学術分野は社会福祉14、看護10、社会福祉と看護混合4であった。困難事例に関する文献数は少なく、社会的認知度が低いこと。また看護領域での報告が少なく、学術的には困難事例の検討・報告はあまり行われてないことが解った。 2)個人面接調査:実施者2名が半構造化面接法で訪問看護師(経験者を含む)12名を対象に60分程度のインタビューを行った(2012/8~11月)。対象者年齢は30~50歳代、全員女性。面接時間46~91分。困難な事例、暴言、暴力の体験について尋ねた。音声データから逐語録を作成し、現在分析中である。困難事例は全員から、暴言・暴力もほとんどの対象者から体験を聞くことができた。 3)グループ対話:『グループ対話から在宅看護の困難事例の「困難」について検討する』第1回を開催した(2013/2/16、23)。Neo-Socratic Dialogue(対話ワークショップで少人数がグループとなり、参加者が体験した事例の1つを土台に1つのテーマで話し合う)を用いた。1回目の今回は、90分のセッションを2日間で計6回設定した。参加者は男性4名、女性3名、年齢は30~60歳代、職業は訪問看護師の他、大学教員、社会福祉士、会社員、自営業等であった。筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者について議論した。困難に関する質問へのグループ中の答えは、在宅ケアの特性および看護師の役割を明確に示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要で述べた1)~3)についての調査目的の達成に関わる状況を述べる。 1)文献調査では、日本の学術論文を調査し文献学的な面から困難事例に関する現状を知ることができた。 2)個人面接調査では、訪問看護師(経験者を含む)12名を対象に個人面接を実施し、音声データから逐語録を作成した。困難事例について全員から聞き取りができ、暴言・暴力についてもほとんどの対象者から体験事例を聞くことが出来た。現在分析中で1)の結果と併せて、訪問看護事業所を対象とした質問紙調査の質問項目作成の基盤となるデータを得られた。また本研究での『在宅看護における対応困難、暴言、暴力』の用語定義(概念特定or概念抽出)に向けての基礎的資料が得られた。 3)グループ対話:第1回目の『グループ対話から、在宅看護の困難事例の「困難」について検討する』を終えた。グループ対話から困難に関する、グループ中の在宅ケアの特性および看護師の役割についての明確な答えが得られた。これより本研究での『在宅看護における対応困難、暴言、暴力』の用語定義(概念特定or概念抽出)に向けての基礎的資料となると考えた。 これら1)~3)の結果は、次に計画している訪問看護事業所等を対象とした質問紙調査作成の基盤となる成果をあげていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
1)文献調査:今後は在宅看護における言語的暴力、性的いやがらせ、ハラスメント、暴力をキーワードにして文献調査を行う。さらに看護管理、リスクマネジメントの他、労働環境改善、組織支援にも視点をおき、海外文献にもあたって国内の現状を知りたいと考えている。更に看護学領域と社会福祉領域との比較、その他の領域との比較、競合について文献学的検討の必要も考慮していく。 2)個人面接調査:訪問看護師(経験者を含む)12名を対象に個人面接の逐語録を現在分析中である。質的内容の分析力と信頼性、妥当性の確保をするため、テキストマイニングソフト等の使用も含めた分析方法の選択を検討しており、平成25年度中には分析を終える予定である。 3)グループ対話:第1回を終え参加者アンケートをもとに改善点などを検討し、第2回は2013/6/21、22に、第3回は2013/8/24、25に開催予定である。第1回ではグループ対話から困難に関するグループ中の明確な答えが得られているが第2、3回目の対話では『在宅看護での困難事例、暴言・暴力』の概念抽出、リスクアセスメント、対応ツール提案の基盤資料を得るよう工夫する。 4)質問紙調査:1)~3)の結果をふまえて、訪問看護事業所等を対象とした質問紙調査を計画する。 1)、2)、3)の結果の学会発表と論文発表を計画する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
直接経費941,508円 概算:1)文献調査50,000円、2)個人面接調査の分析:300,000円、3)グループ対話:100,000円、4)質問紙郵送調査500,000円
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Research Products
(2 results)