2013 Fiscal Year Research-status Report
Common sense modelに基づく糖尿病自己管理教育プログラムの開発
Project/Area Number |
24593285
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柴山 大賀 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (80420082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 栄子 桐生大学, その他部局等, 講師 (20279839)
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Keywords | 糖尿病 / 自己管理行動 / common sense model / 評価尺度 / 患者教育 |
Research Abstract |
昨年度の課題をふまえ、患者の療養行動に強く影響すると考えられる、糖尿病の療養に対する患者の表象(療養行動表象:患者が療養行動をどのようにとらえているか)を測定する尺度の作成を目的に今年度は活動した。 まず先行研究をもとに、Howard LeventhalらのCommon Sense Model(CSM)の主要な構成概念である病気表象と本研究の療養表象の対応を検討した結果、「病気の同定」「病気の時間軸」「病気の原因」「病気の結果」は「どういう行動を、なぜすべきか」という「行動に対する理解(わかる)」に置き換えられ、「病気の統制」は「行動に対する自信(できる)」に置き換えられると考えた。さらに「感情表象」や既存の健康行動理論の要素を参考に、「行動に対する意欲(やりたい)」を加えることで、糖尿病の療養行動の認知的要因の主要部分は大きく3領域に分類できる、との仮説を得た。 次にこの仮説を基に、この3領域を測定するための尺度案の開発に着手した。糖尿病の医療に携わる医師や看護師の助言をもとに、糖尿病の療養行動(食事、運動、薬物療法、モニタリング、禁煙)のそれぞれについて尺度案を洗練した。なおこの尺度案は、臨床現場での利用可能性を考慮し、可能な限り項目数を抑える工夫をした点が特徴的である。今後は、この尺度案の妥当性、信頼性、感度、反応性などの性能を検証することが課題である。 また今年度は、主任研究者が米国にある著明な糖尿病センターの分院を視察する機会を得た。現地の糖尿病療養指導士や看護師との意見交換を通し、米国の医療事情や患者教育の実際に触れることで、世界の中での本研究の意義を再確認し、また本研究への示唆を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究内容の視点から評価すれば、当初は先行研究の流れに忠実に研究を計画していたが、その後の研究動向や臨床上の意義を考慮して、新たな発想を追加しなければ打開策が見いだせないとの結論に達し、研究の方向性をスタートラインから見直したため、当初の計画より進行状況はやや遅れていると判断した。 また、研究の実施環境という点からは、教育業務の負担が例年以上であり、当初計画していたエフォートを下方修正せざるを得なかったことも一因である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、療養表象の尺度案の妥当性、信頼性、感度、反応性などの性能を検証し、実用化に向けて内容を洗練していくことが直近の課題である。 さらにその後は、これを用いて療養表象と病気表象との関連や、これらのうち療養行動を最も効率よく予測する表象要素を明らかにするための縦断的な調査研究を実施することが課題である。
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