2014 Fiscal Year Annual Research Report
病院で療養する終末期がん患者の主体性を理解するためのアセスメントツールの開発
Project/Area Number |
24593298
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大浦 まり子 岡山大学, 保健学研究科, 助教 (40321260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 信也 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (10335599)
岡本 基 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (80144757) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 緩和ケア / 終末期がん患者 / 主体性 |
Outline of Annual Research Achievements |
病院で療養する終末期がん患者の主体性を理解するためのアセスメントツールの開発を目指し、一般病棟および緩和ケア病棟入院患者に行った、これまでのいきさつや現在および今後の過ごし方に関するインタビューデータについて現象学的研究方法を参考に分析を行った。主体性を「自分自身の生を生き抜く主体としてのありよう」とし、患者が終末期の日常をどのように生きようとしているかという視点で分析を試みた結果、患者の主体性は、がん罹患時から現在に至る経験や病状認識、症状、家族や医療者の関わりなど、自分と自分を取り巻く「状況の受けとめ方と状況への向き合い方の様相」として現れると考えられた。「状況の受け止め方」には、がん罹患や病状、出来事に対する<意味づけ>が含まれ、意味づけは同病者との出会いや家族関係、医療者の言葉などなんらかの<きっかけ>によって形づくられたり変化していた。またその意味づけやきっかけが、個々の<状況との折り合い方>を含む「状況への向き合い方」をもたらしていた。症状緩和、食事ができること、医療者がそばにいる安心感は、より安寧に方向付けられた意味づけや状況への向き合い方を促していた。また<状況との折り合い方>には〝自分の死の差し迫りに自分なりに折り合いをつけるという課題″が含まれ、混乱の最中から折り合いがつくまでの個々の状態に年齢や症状、医療者や家族の関わりなどの要件が絡み合っていた。癌の転移により歩行障害が現れていた患者は共通し、急激に身動きの取れなくなった状況そのものに折り合いがつかず、混沌として苦悩が強く、看護師の援助も苦悩の緩和に届いていないことが示唆された。以上について現在も分析途中であり、アセスメントツールの開発のため、さらに分析を進めるが、がんの進行に伴い終末期に歩行障害を併発した患者には特有の体験世界があると考えられたため、その患者に焦点を当てた追加研究が必要である。
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