2012 Fiscal Year Research-status Report
慢性肝炎患者に対する外来看護システムの開発とその有効性の検討
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24593313
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
島田 恵 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (20505383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正木 尚彦 独立行政法人国立国際医療研究センター, 肝炎情報センター, 肝炎情報センター長 (40219316)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 外来看護 / 慢性肝炎 / アドヒアランス |
Research Abstract |
1.目的:慢性肝炎患者の抗ウイルス療法に対する服薬アドヒアランスの実態と、その関連要因を明らかにすること 2.方法:2012年9~12月、肝疾患診療連携拠点病院および診療協力病院に外来通院中の慢性肝炎患者を対象に、無記名自記式質問紙調査を実施した。 3.結果:214部配布し182部の返送(回収率85.0%)があり、171部(有効回答率79.9%)を分析対象とした。(1)過去2週間において100%のアドヒアランスを達成した対象者は全体の55.6%で、約半数の対象者が内服忘れや飲み間違いを経験していた。一方、全体のアドヒアランスは95.8±9.5%と、0%の1名を除く全ての対象者が70%以上であった。(2)ノンアドヒアランスと「性別・年齢・内服必要性の認識の低さ・内服に伴う生活上の制限」の関連が明らかになった。 4.考察:(1)服薬アドヒアランスは、他の慢性疾患患者のアドヒアランスと比較して高い水準であった。一方、ノンアドヒアランスの割合は、海外の先行研究(20~30%)と比較しても高く、本邦でもアドヒアランス改善のための支援を検討する必要性が示唆された。(2)ノンアドヒアランスとの関連が示唆された「必要性の認識の低さ」については、治療効果に対する信頼の揺らぎやうっかりの飲み忘れが関連しており、治療の必要性や効果の認識が薄れてしまう可能性が高いと考えられる。「生活上の制限」についても、薬剤量の調整や頻回な検査などに伴う通院などを生活上の制限と認識していた可能性があり、生活の中で抱く拘束感や負担感から服薬に対する嫌悪感・拒否感といった感情が生じ、内服に至らなかったものと推察される。このように生活上の制限と感じるとされる内容について、治療開始前から日程調整や対応の工夫、十分な説明やシミュレーションを行い、個人の生活背景に合わせた治療スケジュールを立てられるような支援が必要と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
肝炎診療ネットワークに属する病院の外来に通院中の肝炎患者のアドヒアランスに関する実態調査だけでなく、外来肝炎診療に携わっている医師、看護師、コメディカルなどの診療チームメンバーを対象とした診療実態調査も行う計画であった。しかし、調査協力の得られる病院が予測よりも少なかったため、まず患者対象の調査から始め、その結果を協力の得られなかった病院にも伝えることで調査の意義を理解してもらい、協力が得られるような段階を踏むことにしたため、当初の調査計画よりもやや遅れる結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、初年度に計画していた肝炎診療ネットワークに属する病院において外来肝炎診療に携わっている医師、看護師、コメディカルなどの診療チームメンバーを対象とした診療実態調査を行うとともに、外来において求められる看護について分析する。その際、初年度のアドヒアランス調査でノンアドヒアランスとの関連が示唆された「内服必要性の認識の低さ」と「内服に伴う生活上の制限」に対する看護に焦点をあてる。さらに、この結果をもとに、外来で看護を行う上で必要となる知識・技術を抽出し、肝炎外来看護師を育成するためのプログラム案を作成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画していた肝炎診療ネットワークに属する病院において外来肝炎診療に携わっている医師、看護師、コメディカルなどの診療チームメンバーを対象とした診療実態調査を行わなかったため、今年度は残額が発生した。次年度は、この調査を行うので、残額を調査のための質問紙セット一式の印刷および発送、回収のための郵送費として使用する。また、調査結果をもとに、外来で看護を行う上で必要となる知識・技術を抽出し、肝炎外来看護師を育成するためのプログラム案を作成するための検討会議を開催し、ここまでの知見を報告書として印刷、配布する。
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Research Products
(1 results)