2013 Fiscal Year Research-status Report
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24593328
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
石田 順子 高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (10455008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 和子 新潟県立看護大学, 看護学部, 教授 (30586079)
神田 清子 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (40134291)
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Keywords | 家族支援 / がん患者 / 患者の思い / がん患者と家族 |
Research Abstract |
本研究の目的は、「がん体験者の力を引き出す家族員の支援尺度」を開発し、がん患者とその家族が前向きに生活が送れるようにするための「がん患者と家族の生きいき支援モデルの開発」である。 昨年度は、どのような病期にあるがん患者の家族を対象とし研究がなされているのか文献検討を行った。その結果、約60%が終末期にあるがん患者の家族を対象としている文献であった。急性期や初期治療時を対象としている文献は非常に少ない。今年度は、「がん患者とその家族の効果的な支援に関する研究」というテーマでがんの急性期および初期治療時の患者に焦点を当て質的研究に取り組んだ。がん患者とその家族の“効果的な支援”とは何か、何を明らかにすることが必要かについて文献および書籍を用いて検討を進めていった。当初は、がん患者の家族の支援していくうえでの困難とそれをどのように乗り越えたかについて明らかにする予定であった。乗り越えたことを明らかにすることで効果的な支援が分かると考えていた。しかし家族の関係性の中心は情緒的相互関係にある。がん患者の療養を力づけるのは家族の支援が重要であり、家族が提供する支援と患者が捉える支援のギャップが少なければ、より効果的な支援ができるという考えに至った。そこで、がん患者の支援ということをポイントにおいて、家族がどのような支援を提供しているのか、また提供したいと思っているのかをインタビューをするのと同時に、患者がその提供された家族支援をどう受け止めているのか、家族に何をもとめているのかを明らかにすることを目的とした。また、患者は家族には心配をかけたくないと思っている人が多く家族には相談できないということ分かった。家族の思いと患者の思いを明らかにするという視点から、半構造的面接法によるデータ収集を行うこととし、研究計画書を作成し、倫理委員会の承認を得てデータ収集に入る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成24、25年度には「がん体験者の力を引き出す家族員の支援尺度」の主要概念を分析し構成概念の明確化と尺度の原案の作成する予定であった。しかし、当初考えていた概念「がん患者の家族が困難をのりこえる能力(効果的な支援ができる能力)」の主要概念を検討するために質的研究として、がん患者の家族が患者を支援する上での困難をどのように乗り越えてきたのかを明らかにする予定で研究計画書の検討をしていたが、スーパーバイズにて再度検討したほうが良いとアドバイスを受け検討を重ねた。その結果、がん患者が家族の支援をどのように捉えているか、家族がどのような支援を提供しているかを明らかにし、「効果的な支援」について検討していくこととした。そのため、今年度は「がん患者および家族の効果的支援に関する研究」として、研究計画書を作成し、倫理委員会の承認を受けインタビューをする予定であった。外部の研究者が施設に入るので、施設側の受入れはよく問題はないが、一部カルテからデータを収集する予定である点で倫理審査が難航し、現在承認待ちの状況であり、当初の予定からは遅れている現状があるが、データ収集は行える予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
家族の関係性のポイントは情緒的相互関係にある。がん患者の療養を力づけるのは家族の支援が重要あり、家族が乗り越えてきた事実ではなく、家族がどのような支援を提供しているのか、また提供したいと思っているのかを明らかにすると同時に、患者がその提供された家族支援をどう受け止めているのか、家族に何をもとめているのかを明らかにすることで、効果的な支援とは何かがつかめると考える。また、患者は家族にはあまり心配をかけたくないと思っている人が多く医師からのバッドニュースを家族に相談できない患者が多いことが分かった。家族が提供する支援を家族はどう考えるかまた患者は家族から受ける支援をどうとらえどう思っているのか、家族の位置づけについても明らかにするという視点から、半構造的面接法によるデータ収集を行い、その中および文献からがん患者への家族の「効果的な支援」を測定するための中心となる概念を考え分析行い尺度の原案作成までを今年度の目標としたいと考える。 当初の予定からは大幅に遅れるが、地道にゴールに向かって研究を行っていきたいと考えている。研究を遂行する上での課題は、患者と家族を1単位として考えているので患者と家族どちらかではなく、患者とその家族両方からデータがとれてそのデータを有効とする予定である。そのため、研究に協力してくれる対象が少なくなることが予想される。そのため、研究に協力してくれる施設の開拓および研究協力をしてくれる看護師を探す必要がある。研究分担者の所属する大学の大学院生等に広く声をかけ研究協力依頼をしていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、質的研究を行う予定でいたのでその謝金とインタビューに入る予定だった施設の看護師(研究協力者)への謝金が大幅に残った。質的研究の対象者は、大腸がん患者30名、その家族30名、乳がん患者30名、その家族30名の予定で3,000円/1人のクオカードを購入予定であった。この結果を国内の学会に発表する予定で研究協力者2名分の学会費を計上していた。これだけでおよそ50万円になる。その他にデータを整理するためにテープお越しの費用とパソコンソフトSPSSの購入を予定していたので、大幅に次年度へ繰り越すことになってしまった。 今年度使用する予定であった金額はそのまま予定通り使用する、研究協力者への謝金、研究協力施設、および研究協力者への謝金(50万円)として使用する予定である。また、データを整理する上で、テープお越しをしてもらう費用(20万円)とまた入力したデータを分析するためのパソコンソフトSPSS(20万円)を購入する予定である。 また、次年度に関しては、2年ごとの国際学会があり、それへの参加費が計上されている。また、尺度を作成する上においては基準関連妥当性を確認するために既存の尺度を2種類、それぞれ300枚程度購入する予定である。 今年度の残金は、謝金およびSPSSの購入でに当て、次年度の経費は、国際学会参加(30万円)と既存尺度の購入(20万円)、国内の学会で成果発表(10万円)に使用する予定である。
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