2012 Fiscal Year Research-status Report
がん患者・家族の生活習慣立て直しを支援する看護師の学習―訓練モデルの開発
Project/Area Number |
24593337
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
高木 真理 武蔵野大学, 看護学部, 講師 (80341535)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | がん看護学 |
Research Abstract |
研究の全体構想は、がん患者・家族が、再発や進行の予防をめざして生活習慣を見なおし、より好ましい生活習慣の立て直しに自ら取り組もうという意識と行動の転換を促進するような方略を探究し、それを医療施設内や地域社会に波及させることである。本研究の目的は、前科研の成果である、「がん患者と家族の生活習慣立て直し対話の会支援モデル」を医療施設内で活用することをめざして、そのリーダーとなり影響力を及ぼすことができる看護師の育成に向けた学習-訓練モデルを開発することである。 平成24年度の目標は、がん患者と家族の生活習慣立て直しを支援する看護師の学習-訓練プログラム(案)の立案であった。まず、本研究への参加を希望する3つの施設を選定し、それぞれの施設から2~3名のがん看護専門看護師あるいはエキスパート看護師を研究協力者として依頼し、研究者4名と研究協力者9名で「研究グループ」を結成した。研究グループでは、月に1回のペースで「がん患者と家族の生活習慣立て直し対話の会支援モデル」を理解するための学習会を開催し、テキストを用いて基盤となる理論の理解と知識のレベルアップを図った。 その後、各施設の現状を踏まえて、生活習慣立て直し支援の導入の可能性を検討し、各施設の臨床看護師をどのように育てたいかという構想を練った。年度末には、生活習慣立て直しの支援を臨床看護師らに拡大する方策として、3つの施設のそれぞれに適した、学習-訓練プログラム(案)を立案した。 研究者は、「第5回統合医療ヨーロッパ大会」、本研究の基盤であるニューマン理論が準拠する「全体性の理論に基づく研究と実践のワークショップ(イタリア)」、「日本統合医療学会」に参加し、がんの統合医療と看護とその教育に関する国内外の動向について把握し、学習会や学習-訓練プログラム(案)の作成におけるキーポイントを掴んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3つの研究施設から協力者を募って研究グループを結成し、計画通りに毎月の研究会を開催することができた。その結果、今年度の目標であった、‘がん患者と家族の生活習慣立て直しを支援する看護師の学習-訓練プログラム(案)の立案’という成果を得た。この学習-訓練プログラム(案)は、本支援を導入予定である各施設のがん看護実践をリードする看護師らとの協働で作成したことから、次の目標であるプログラム(案)の実践に向けて、より実現可能なものとなった。これらのことより、研究計画は、おおむね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の目標は、昨年度立案した、がん患者と家族の生活習慣立て直しを支援する看護師の学習-訓練プログラム(案)を、各施設の臨床看護師に実践することである。まず、学習-訓練プログラム(案)を各施設に導入するために必要な、より具体的な計画を立て、次に、各施設で研究参加者となる臨床看護師を募集し、「フィールド研究グループ」を結成する。 研究参加者(臨床看護師)の選定基準は、がん患者・家族の生活習慣の立て直しに向けた支援に関心を持つがん看護に従事する看護師とする。希望者に、研究目的・方法・参加の利益と保護、同意および辞退に関する自由などを記述した文書を渡し、口頭で説明を加え、質問を受け、それに応えた後、「研究参加承諾書」を用いて承諾を得る。 研究者は、各フィールド研究グループで、学習-訓練プログラム(案)を実践する際、すべてのフィールド研究グループに加わり、学習-訓練のプロセスを支援する。テキストを配布して知識の理解が深まるように、また、積極的にグループでの対話やケアの実践演習を取り入れ、体験を通して学びが深まるように工夫する。3つの施設は、必ずしも同時にスタートする必要はなく、準備が整った施設から順にスタートする。定期的に研究グループでの集まりを開催し、各施設での実施状況を共有し、学習-訓練モデルの創出を目指してプログラム(案)を練り上げていく。 研究者は、我が国の統合医療のパイオニアである帯津良一医師主催の宿泊研修:「いのち学」に参加し、統合医療の実践を学ぶ機会をつくる。また、本研究の理論的基盤となるニューマン理論の理解を深めるために、海外研修に参加し、機会を得て本研究の計画と実施状況について意見交換し、助言を得る。 平成25年度の研究成果として、がんと生活習慣とその看護の観点から、看護師の認識や実践に生じた変化の内容を明らかにし、「日本がん看護学会」で発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
○各施設での学習-訓練プログラム(案)の実践(各施設毎に4 回ずつ、年間12 回を計画)のための経費⇒書籍費(50,000 円)、各施設での実践に必要な物品費50,000円×3施設(150,000円)、各施設への研究者の移動交通費2名×2,000 円×12 回(48,000 円)、テープ起こし120 分 20,000 円×12 回(240,000 円) ○研究グループでの全体ミーティング(研究者施設で、年6回を計画)のための経費⇒研究協力者の移動交通費9名×1,500円×6回(81,000)、テープ起こし120分 20,000円×6回(120,000円) ○帯津良一医師主催「いのち学」参加費・交通費⇒1名(70,000円) ○ニューマン理論の学習会参加費・交通費(米国)⇒1名(500,000 円) ○マーガレット・ニューマン博士への専門的知識提供に対する謝礼(50,000円)
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