2013 Fiscal Year Research-status Report
がん患者・家族の生活習慣立て直しを支援する看護師の学習―訓練モデルの開発
Project/Area Number |
24593337
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
高木 真理 武蔵野大学, 看護学部, 准教授 (80341535)
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Keywords | がん看護学 / ニューマンの健康の理論 / 生活習慣立て直し / 学習訓練モデル |
Research Abstract |
本研究の目的は、前科研の成果である、「がん患者と家族の生活習慣立て直し対話の会支援モデル」を医療施設内で活用することをめざして、そのリーダーとなり影響力を及ぼすことができる看護師の育成に向けた学習-訓練モデルを開発することである。 平成25年度の目標は、昨年度立案した、がん患者と家族の生活習慣立て直しを支援する看護師の学習-訓練プログラム(案)を各施設の看護師に実践し、フィールド内で本支援を拡大する推進力となるような看護師を育成することであった。 まず、各施設で研究参加者となる看護師を募集し、「フィールド研究グループ」を結成した。研究者は、すべてのグループに加わり、学習-訓練プログラム(案)の実践に参加し、そのプロセスを支援した。 結果として、2つのフィールドで、一連の学習-訓練プログラム(案)の実践が完了した(1つのフィールドでは継続中)。参加した看護師は、生活習慣とそのケアに関する知識を学び、自身の身体で体験したことで、参加者自身の生活習慣や看護実践を振り返る機会を得、本支援モデルが、患者・家族の生活習慣の変容を切り口に、人生全体としての変容を促すことを理解した。看護師らは、患者・家族が主体的に生きることを支えるケアとして本支援を位置付けると、フィールドにおける支援の拡大に向けて積極的に動き出した。 研究者は、我が国の統合医療のパイオニアである帯津良一医師主催の宿泊研修:「いのち学」に参加し、統合医療の実践を学ぶ機会を得た。また、本研究の理論的基盤となるニューマン理論の理解を深めるために、海外研修に参加し、機会を得て本研究の計画と実施状況について意見交換し、助言を得て、次年度の方向性を掴んだ。 昨年度の研究成果として、がんと生活習慣とその看護の観点から、看護師の認識や実践に生じた変化の内容を明らかにし、第28回日本がん看護学会学術集会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3つの研究フィールドの研究協力者を中心に、各フィールドで研究参加者となる看護師を募って「フィールド研究グループ」を結成し、計画通りに進行することができた。結果として、今年度の目標であった、がん患者と家族の生活習慣立て直しを支援する看護師の学習-訓練プログラム(案)を各施設の看護師に実践し、フィールド内で本支援を拡大する推進力となるような看護師の育成を進めることができた。次年度の目標である、「看護師との協働による学習―訓練プログラムのモデル化」に向けて、準備が整ったため、研究計画は、おおむね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の目標は、これまでの2年間で育成した看護師らと協働し、生活習慣立て直しを支援する看護師の学習―訓練プログラムをさらに練り上げ、そのモデル化をはかることである。以下のような段取りで進める。 1)各フィールド研究グループの拡大とチームの結成(さらに新しく育成する看護師を募集し、説明と同意を得る)、2)昨年度の気付きを踏まえ、今年度実施する学習-訓練プログラム案に修正を加える、3)学習-訓練プログラム案の実施(毎月1回で5回程度)学習と対話と実践を繰り返し、生活習慣立て直しを支援する看護師の学習-訓練プログラム(各施設版)を作成する。、4)3つの施設で作成した、学習-訓練プログラムを持ちより、3つの施設に共通する学習-訓練のエッセンスを取り出しながら、「生活習慣を支援する看護師の学習-訓練モデル」を作成する 今年度の計画進行における留意点は以下である。①参加者全員で、がん患者・家族の生活習慣の支援を臨床に取り込むために、看護師らに必要な学習-訓練プログラムを作成することを意識統一してスタートする。、②毎回の研究会で、必ず、がん患者・家族の生活習慣の支援を臨床に取り込むためには、看護師らにどのような学習-訓練が必要か?それはどのようなものか?というテーマで対話をもつ。、③日々の実践の中で、学んだことを意識的に現実とすり合わせ、さらに、学習-訓練プログラムの内容を発展させていく。④相互作用の中で、個々の気づきがグループ全体の気づきへと広がり、新しい看護実践を臨床に取り込むことへの意識変革を生み出していくことを重視にする。 研究者は、本研究の理論的基盤となるニューマン理論の理解を深めるために、海外研修に参加し、機会を得て本研究の計画と実施状況について意見交換し、助言を得る。平成26年度の研究成果は、第29回日本がん看護学会学術集会で発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究は、がん患者と家族の生活習慣立て直しを支援する看護師の育成を目指すものであり、年を追うごとに各フィールドで参加する看護師の人数を増員しながら進めている。今年度は、最終年度にあたり、これまでで最も人数を拡大して実施する。したがって、データ収集、分析、まとめに必要な経費を計上する。 ○各施設での学習-訓練プログラム(案)の実践(各施設毎に4 回ずつ、年間12 回を計画)のための経費⇒書籍費(50,000 円)、各施設での実践に必要な物品費50,000円×3施設(150,000円)、各施設への研究者の移動交通費2名×2,000 円×12 回(48,000 円)、 テープ起こし120 分 20,000 円×12 回(240,000 円)、○研究グループでの全体ミーティング(研究者施設で、年6回を計画)のための経費⇒研究協力者の移動交通費8名×1,500円×6回(63,000)、テープ起こし120分 20,000円×6回(120,000円)、○ニューマン理論の学習会参加費・交通費(米国)⇒1名(350,000 円)、○英論文の校正、査読、修正、投稿登録に関わる手数料(338,513 円)
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