2013 Fiscal Year Research-status Report
肝移植後のレシピエントの妊娠・出産における心理的体験と医療支援に関する研究
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24593344
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Research Institution | Morinomiya University of Medical Sciences |
Principal Investigator |
吉村 弥須子 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (10321134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅下 浩司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60252649)
久保 正二 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80221224)
吉川 有葵 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 講師 (20614085)
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Keywords | 肝移植 / レシピエント / 妊娠・出産 / 心理的体験 |
Research Abstract |
本研究の目的は、肝移植後に妊娠・出産を体験したレシピエントの妊娠前から出産後の心理的体験を明らかにし、肝移植後に妊娠・出産を体験するレシピエントに必要な医療支援について検討することである。当該年度の研究実施計画は、前年度に引き続き面接調査を実施するとともにデータ分析を行うことであった。前年度、6施設において11名のレシピエントに面接調査を実施しており、当該年度は、2施設において3名のレシピエントに面接調査を実施した。計14名の研究協力者のデータを分析した。 【データの分析】 1.録音した面接内容を逐語録にした。2.データから、以下の内容に関する文脈を抽出し、カテゴリー化した。(1)肝移植後のレシピエントの子どもを持つことに対する思い、(2)レシピエントが妊娠判明したときの感情と家族の反応 【結果】(1)子どもを持つことに対する思いは、<子どもがほしい><子どもを持つことへのためらい><子どもを諦めていた><子どもを持つことを考えていない>の4カテゴリーが抽出された。肝移植後のレシピエントのほとんどは子どもを望んでいたが、家族の反応、免疫抑制剤の影響、自身の体調などによって、子どもを持つことに不安を感じていた。(2)レシピエントの妊娠判明時の感情は、<喜び><喜びと不安><喜びよりも驚愕・衝撃・困惑・混乱>の3カテゴリーが抽出された。妊娠判明時の家族の反応は、「喜んでくれた」「不安だった」「困ったような感じだった」「怒られた」などであった。肝移植後のレシピエント及び家族の多くは妊娠を喜んでいた。しかし家族はレシピエントの体調を気遣い、妊娠・出産に伴うレシピエントの身体の負担や悪化を恐れ、否定的な反応も示していた。そのためレシピエントや家族が妊娠を肯定的に受け止め、安心して妊娠・出産に臨めるように医療チーム全体でサポートを行うことが重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の実施計画である面接調査が終了し、データを分析中である。妊娠前の心理的体験を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究実施計画は、データ分析を継続し、研究成果を学会発表、論文等としてまとめる。分析は以下の内容に関することである。(1)肝移植後のレシピエントの妊娠中の不安と対処法、(2)肝移植後のレシピエントが体験した出産、(3)肝移植後のレシピエントの出産後の体験、(4)肝移植後のレシピエントが医療者に求める支援 上記の分析結果に、医学的見地からみた問題点や評価なども加えて考察し、今後の肝移植後に妊娠・出産を体験するレシピエントに必要な医療支援について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データ入力のための人材に必要な人件費を計上していたが、データ入力はすべて研究者が行ったため、人件費や謝金が発生しなかった。図書、資料費、文献取り寄せ費が少なかった。 研究成果発表のための学会参加がすでに決定しており、当初予定していた以上に旅費や参加費が必要となる。また論文作成のために、多くの図書の購入、資料費・文献取り寄せ費が必要になる。
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Research Products
(5 results)