2013 Fiscal Year Research-status Report
慢性閉塞性肺疾患患者の急性増悪の予防・対処行動に関する測定尺度の開発
Project/Area Number |
24593346
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
松本 麻里 兵庫医療大学, 看護学部, 准教授 (30295109)
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Keywords | 慢性閉塞性肺疾患 / 急性増悪 / 自己管理行動 / 測定尺度 |
Research Abstract |
1.COPD患者の増悪に対するセルフモニタリング尺度の質問項目の収集 COPDの増悪の症状・徴候に関する患者の主観的な体験を反映した質問項目を収集するために、大阪府内の病院の呼吸器内科外来通院患者と入院患者計20名を対象に、予備調査を実施し、質的記述的分析を行った。調査期間は、2013年6月10日~9月6日であった。 2.測定尺度(案)の作成と内容妥当性・表面妥当性の検討 1に基づき作成した項目リストを精選し、<増悪の原因や誘因>9項目、<増悪の症状・徴候>21項目、<症状・徴候に対する行動の妥当性>40項目、合計70項目から成るCOPD患者の増悪に対するセルフモニタリング尺度(案)を作成した。各質問項目(案)は5段階のリカート法により尺度化し、回答の選択肢は「はい(5点)」、「どちらかというと、はい(4点)」、「どちらともいえない(3点)」、「どちらかというと、いいえ(2点)」、「いいえ(1点)」とした。 尺度(案)の内容妥当性を検討するために、COPD患者の診療に従事する専門医1名・慢性疾患看護専門看護師1名・慢性呼吸器疾患看護認定看護師5名・3学会合同呼吸療法認定士4名・看護師1名・慢性呼吸器疾患看護の研究者1名、計13名に、測定対象であるCOPDの増悪に関するセルフモニタリングを反映し、かつ網羅しているか意見を求めた。結果、「合致していない」と評価された項目はなく、13名中11名がCOPD患者の増悪に対するセルフモニタリング全体を「網羅できている」と回答した。表面妥当性については、表現が曖昧と指摘された質問項目を修正し、より回答しやすいよう質問項目の順番を入れ替えた。 その後、COPD患者8名を対象にプレテストを実施し、回答者の理解しやすさ、答えやすさ、負担感の評価に基づいて修正を行った。回答所要時間は20~30分であった。本調査ではこの修正した尺度(案)を用いる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成24年度に計画していたヒアリング調査の開始が、研究協力施設の倫理審査委員会の開催延期により調査開始が遅れたことが、その後の質問項目の収集および測定尺度(案)の作成に影響し、当該年度中に本調査開始に至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
「COPD患者の増悪に対するセルフモニタリング尺度(案)」の信頼性と妥当性の検証 近畿圏、および九州圏の病院に通院あるいは入院中のCOPD患者、訪問看護ステーションを利用しているCOPD患者で、本調査への協力の承諾が得られ、かつ質問紙への回答が可能な患者300名程度を対象に、①COPD患者の増悪に対するセルフモニタリング測定尺度(案)、②Self-care Agency Questionnaire(SCAQ)30項目版を実施する。 分析は、統計ソフトSPSS statistics 21および共分散構造分析ソフトウェアAmos 21を用いて、記述統計分析による天井効果・床効果の確認、探索的因子分析による内容妥当性の検討、確証的因子分析による尺度モデルの適合度の確認を行い、項目選定を検討する。また、固有値が2因子にまたがる項目、かつ因子負荷量が0.4未満の項目について重点的に検討し、項目を厳選する。内的整合性は、尺度全体および各因子のCronbach’sαを算出し検討する。再現性の検討には、test-retestを行う。承諾が得られた対象者に尺度(案)の回答を1週間の間隔をおいて依頼し、1回目と2回目の尺度全体と各因子の得点の間の相関係数を算出し検討する。 さらに、I-T(item-total correlation analysis, 項目-全体)相関分析を行い、項目得点と尺度総得点との相関係数が極端に高い、あるいは低い質問項目を確認する。 基準関連妥当性の検討は、外的基準であるSelf-care Agency Questionnaire(SCAQ)との相関係数を算出する。 また、内的整合性の検討から想定される、複数の因子間の因果関係を仮定し、共分散構造分析(構造方程式モデリング)により、最もモデル係数の高いモデルを抽出する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予備調査であるヒアリング調査開始の遅れに伴い、本調査である尺度の信頼性と妥当性の検証の開始が遅れ、調査旅費、対象者への謝礼、質問紙の配付や回収にかかる郵送費、分析に使用するPC、統計ソフトに計上した費用に未使用額が発生した。 次年度は、開発した測定尺度(案)の信頼性・妥当性を検証するために、近畿圏および九州圏の病院を利用しているCOPD患者300名程度を対象に、質問紙調査を実施する。そのため、研究協力施設における会議、調査旅費対象者への謝礼(350×@1,040*再テスト含む)、質問紙配付・回収にかかる郵送費、データ整理用品等に使用する。統計分析のために、大容量のPC、共分散構造分析ソフトウェアAmos 21を購入する。 また、研究成果を発表するために、学術集会の参加旅費および参加費として使用する。
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