2014 Fiscal Year Research-status Report
「感情表出(EE)」を用いた心身症・神経症児の親支援モデルの開発に関する研究
Project/Area Number |
24593353
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐藤 幸子 山形大学, 医学部, 教授 (30299789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 志保 山形大学, 医学部, 助教 (00512617)
遠藤 芳子 宮城大学, 看護学部, 教授 (20299788)
塩飽 仁 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50250808)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 子ども / 神経症 / 心身症 / 感情表出(EE) / 親 / 支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
小学5年~中学1年生までの児童・生徒849名を対象に,子どもの情動調整と心身症状の関連についての仮説モデルを作成・検証した。その結果,子どもの「ネガティブな情動体験」は「情動抑制」を介して「調整困難」に影響しており,また,直接「調整困難」に影響していた。「ネガティブな情動体験」,「調整困難」および「情動抑制」は,それぞれ「心身症状」に影響していた。以上の結果から,子どもの心身症状には子どもの情動調整能力とネガティブな情動体験が影響しており,子どもの情動調整スキルを高めるような支援や,ネガティブな情動を過剰に体験しないような配慮が重要であることが示唆された。本研究を日本看護科学学会誌に投稿中である。 また,親の情動表出(EE)が子どもの情動調整や子どもの心身症状に影響を与えるという仮説モデルを検証するために,児童・生徒とその両親854名を対象に質問紙調査を実施した。その結果,父親の特性不安が高いほど男子は「調整困難」が強く,それが心身症状を高めていた。また,母親の特性不安が高いほど男子の「調整困難」が強く,それが心身症状を高めていた。女子は,父親のネガティブな感情表出が強いほど「調整困難」が強く,「調整困難」は心身症状を高めていた。また,父親のEEは女子の心身症状を高めていた。母親に関しては,母親の特性不安が女子の心身症状を高めていた。また,女子の「調整困難」は心身症状を高めていた。以上のことから,子どもの心身症状の訴えの高まりには,両親の不安傾向への支援など家族全体への支援が必要であり,特に女子では批判等のネガティブな感情表出のコントロールに関する父親への支援が必要であることが示唆された。本研究は,看護科学学会学術集会で発表し,現在論文執筆中である。 上記研究成果を受けて,現在は心身症・神経症児の保護者に対する支援内容を分析し,心身症・神経症児の親支援モデルを検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4年目を向え,調査研究は終了し,現在は親支援モデルの検討を行っており,今年度いっぱいで最終的な経過をまとめる予定である。調査研究の結果,子どもの心身症状には,親のEEだけでなく,親の特性不安の影響もあることが明らかとなった。親支援においては親の不安に配慮した介入が必要であり,それを考慮した親支援モデルの検討を行っている。以上のことから,おおむね順調に経過していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,本研究の最終年度であるため,親支援に関する研究成果を発表し,論文にまとめる予定である。特に当初の研究計画に関する変更はない。
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Causes of Carryover |
今年度は,セミナー開催が出来なかったために次年度成果報告を含め,セミナー開催予定であり,次年度使用額が生じた。その費用を次年度に使用予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
成果発表(国外および国内)とセミナー開催および報告書の作成を予定している。
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Research Products
(3 results)