2014 Fiscal Year Research-status Report
高度生殖医療後の妊娠-胎児の成長をめぐる夫婦関係を基盤とした妊娠期ケアの開発-
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24593358
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
林 はるみ 新潟大学, 企画戦略本部, 准教授 (80529397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
定方 美恵子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00179532)
宮坂 道夫 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30282619)
佐山 光子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50149184)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高度生殖医療 / ART / 夫 / 妻 / 経験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,さらに6名の研究協力者を得ることができ,研究参加者は計19名となった「夫」,「妻」それぞれに対し研究者が個別にインタビューを行うことにより,それぞれがパートナーに気兼ねなく妊娠中に経験したことを語れるように配慮した。 特に,これまで研究対象となることがなかった「夫」の語りから,高度生殖医療後の妊婦の「妻」と「夫」の関係性が見出されつつある。また,夫は健康な子どもを得るために「妻」を支える役割を認識していた。妊娠が成立すると「妻」は,妊娠5か月までは流産など胎児を失う恐怖感から精神面が不安定になりがちであり,その不安定な気持ちをさまざまな形で「夫」に表出していた。この時,「夫」自身もまた,流産など胎児を失う不安をもっていたが,「妻」に話すことはなく,「妻」を支えることに専心した。「夫」は,妊娠による「妻」の変化に戸惑うが,「妻」の精神的な安寧が胎児の健康につながると考え,「妻」の気持ちが安定するような関わりや気遣いを続け,しばしば自己を抑制していた。 妊娠5か月になり,「妻」の腹部が増大しはじめ,胎動自覚もみられると,「妻」が「胎児」の健康状態を認識できるようになるため,徐々に精神面が安定した。「夫」は,「妻」の腹部の増大を観察しており,胎児の成長が「夫」なりに実感できると,「夫」がもつ流産の不安は軽減した。腹部増大と胎動の強さの変化によって,「妻」も「夫」も「胎児」の存在や成長を実感し,「夫」と「妻」の会話に「胎児」の内容が一層増える等の変化がみられた。「夫」は,腹壁から胎動を触知することや,大きな胎動を観察することによって「胎児」への愛着形成が促進された。これらの研究を通して,高度生殖医療によって妊娠した「妻」と「夫」のケアニーズが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究参加者の確保は容易でないが,当初の計画通りに進んでいる。「夫」と「妻」それぞれの経験の分析は終えたが,さらに「夫」と「妻」の関係性を浮き彫りにする分析は大変複雑であるため慎重に取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
「夫」と「妻」それぞれの経験の分析をもとに,さらに「夫」と「妻」の関係性を浮き彫りにするための分析を進める。すでに明らかになりつつあるケアニーズから,高度生殖医療後の妊婦と夫に特化したケアプログラムを構築し,プレ実施を試みて評価改善する予定である。
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Causes of Carryover |
初年度,研究協力者の確保に時間がかかり,インタビュー開始時期が遅れたことによる影響を受け,研究協力者への謝礼,テープ起こし代,人件費の執行に遅れが出たことが理由と考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究分析を進めながら研究補助者の人件費の未執行分を執行し,計画通り研究を進めていく予定である。
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