2015 Fiscal Year Annual Research Report
胎児診断された先天性心疾患児の母親の心理過程と親子関係に関する縦断的研究
Project/Area Number |
24593365
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大井 伸子 岡山大学, 保健学研究科, 准教授 (60155041)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 先天性心疾患児の母親 / 胎児診断 / 心理過程 / 親子関係 / 縦断研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠中に胎児診断された先天性心疾患の母親25人を対象に調査を行った。 胎児診断直後の母親の心理状態は,「診断直後の混乱」「原因への不安」「子ども治療への葛藤」「現実の受け止め」「子どもへの罪悪感」「子どもの他の病気への不安・心配」「命の重さを実感」「将来への不安」「子どもの状態への不安」に分類された。出産前の母親の心理状態は,「子どもが元気に産まれることへの願い」「子どもに大事な存在と伝えたい」「子どもの救命への期待」「分娩への不安」「子どもの状態への不安」「子どもの治療に向けての決心」「将来への不安」「経済的不安」「家族への気遣い・気がかり」「家族と離れた寂しさ」に分類された。産褥入院期間中の母親の心理状態は,「出産後の安堵」「子どもが生きていることへの安堵」「少しでも母乳をあげたい」「今後が見通せない不安」「子どもの状態への不安と心配」「今後の検査・手術への不安」「母親になった気がしない」に分類された。子どもの付き添い期間中の母親の心理状態は,「退院後の生活不安」「他の家族への気がかり」「子どもの育児困難感」「子どもの状態への不安」「付き添いの疲労感」「母親同士の思いの共有」に分類された。 胎児診断直後の母親に対しては,心理状態や不安の把握,医師の説明に対する理解状況を確認し,対応を検討することが重要である。不安やストレスの高い母親に対しては,他職種が連携したサポート体制づくりが必要である。分娩前には,出産後のことや生活がイメージでき,母親の分娩に対する不安が軽減できるような対応が重要である。出産後は,母親の状態を心身共に把握し,子どもの状態に応じて両親の不安や心配が軽減できるような対応を行うことが重要である。そして,母子関係の形成や母乳をあげたと実感できるような働きかけが必要である。また,心疾患の児を持つ母親同士がピアサポートが行えるような,場の提供なども必要である。
|
Research Products
(2 results)