2015 Fiscal Year Research-status Report
当事者による分娩時クライシスマネジメントのためのヘルスプロモーション
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24593372
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
林 佳子 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (50455630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 まゆみ 札幌市立大学, 看護学部, 講師 (00322917)
伊藤 久美子 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (20292039) [Withdrawn]
正岡 経子 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (30326615)
伊藤 幸子 旭川医科大学, 医学部, 教授 (50301990)
蝦名 智子 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (50583738) [Withdrawn]
相馬 深輝 札幌医科大学, 保健医療学部, 助教 (30753503)
小林 径子 札幌医科大学, 保健医療学部, 助教 (80757352)
植木 瞳 札幌医科大学, 保健医療学部, 助手 (60758671)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 妊婦 / 僻地 / 出産準備教育 / 安全管理 / ヘルスリテラシー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、分娩施設まで距離にして100km、時間にして2時間前後の移動を必要とする地域をフィールドとして調査を行ってきた。平成27年度は分娩施設がない市町村の保健師へのインタビューデータおよび長距離移動妊婦のインタビューデータの分析、分娩施設に勤務する助産師のインタビューを行った。 保健師のデータからは、長距離移動妊婦が居住する地域の保健師が行っていた母子保健活動について、また、妊婦のインタビューデータからは、施設または市町村から分娩準備教育を受ける機会と分娩に向けた心配と準備について分析を行った。 対象保健師は、長距離移動妊婦の把握に努め、必要時には医療施設に相談するよう保健指導をしていた。長距離移動妊婦への分娩準備教育上の課題には、【医学上の疑問、経済上の悩みと制度利用への疑問を抱える妊婦】がいても、妊婦健診の無い日に産科医師が不在のB市では、【妊娠・出産管理を市内で完結できない環境】のため妊婦が医学的な相談をする場が少ないことがあげられた。妊婦は相談の機会が少ないため【個人的交流、ネットや本から得る妊娠・出産に関する情報】に頼ることとなり、専門職からの分娩準備教育を受ける必要性が示唆された。また、保健師とつながっていない妊婦の中には分娩準備教育や保健指導を受ける必要性が高い妊婦が潜在している割合が多く、妊婦向けの健康教室や妊婦相談への不参加等の【保健師とつながらない妊婦が抱える課題】が発生していた。 対象妊婦は、病院で分娩準備を集団指導の場ではなく個別に相談をしていた。保健師は子育ての仲間作りと健康づくりの意識付けを本来の目的とした健康教室で、分娩に向け交通手段を確保するよう妊婦に教育していた。交通手段の確保等に困難を抱える妊婦を把握する保健師と分娩施設の間で情報が共有されておらず、分娩時の移動でリスクを抱える妊婦を把握するには保健師と病院の情報共有が必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度は、長距離移動妊婦が分娩で利用する施設に勤務する助産師の研究協力を得られ、妊婦健診場面の参加観察と助産師のインタビューを行った。参加観察およびインタビューについて研究グループと対象助産師との間で日程調整がつかず、調査の実施時期が後ろ倒しとなった。しかし、前年度から取り組んでいた保健師の母子保健活動に関する調査、長距離移動妊婦の分娩準備教育に関する現状分析については、研究組織の再編により進捗状況の改善をはかることができ、研究計画に比してわずかな遅れでとどめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、これまでの調査結果から、分娩時に長距離移動する間の安全確保を目的に、妊婦の教育プログラムを作成する。また、研究フィールドとなっている市町村又は分娩施設において教育プログラムを試行し、実施後の評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
長距離移動を要する妊産婦が分娩する施設側の調査に着手したが、施設側との日程調整が不調となり調査時期に遅れが出たため、調査に関連する費用を執行せずに終了した。また、研究メンバーの学会参加費および旅費を、他の研究助成金から執行されるたことからも執行額が変更となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は教育プログラムを作成して試行する予定である。それに伴い、教材の作成、教室の開催を行うため、物品費、謝金が発生する予定である。また、研究計画全体の進捗状況についてスピードアップを目指し、研究の補助業務を行う人材を確保するため人件費が発生する予定である。 学会への発表、論文の投稿など、研究成果の発表も引き続き行う予定である。
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Research Products
(3 results)