2013 Fiscal Year Research-status Report
葉酸代謝関連遺伝子多型、ライフスタイル因子との相互作用による先天異常発生への影響
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24593373
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 久美子 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (20292039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 成子 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30448831)
イーラ タマ アヨ 北海道大学, 学内共同利用施設等, その他 (70623792)
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Keywords | 先天異常 / 妊娠初期血清葉酸値 / 葉酸代謝関連遺伝子多型 |
Research Abstract |
先天異常の主要な奇形の発生頻度は2~5%であり、本邦でも0歳児の死亡原因の第1位を占める。また、小奇形はさらに発生頻度が高く、早急な治療を必要としないが、主要な奇形を合併していることもあるため出生後の観察は重要である。先天異常の発生には、多因子遺伝が20~25%を占める。そのため、器官形成期における環境要因の把握も必要である。「環境と子どもの健康に関する北海道スタディ(以下、「北海道スタディ」とする)」は、2002年から2012年まで北海道の様々な規模の産科施設36施設を受診している女性の協力を得て、妊娠期の環境暴露が出生児の健康に及ぼす影響を調査する前向きコホート研究を実施している。これまで、分娩終了した20,818名のうち出産施設から出産日、在胎週数、出生時体重、児の性別、先天異常の有無、先天異常の内容などの情報が得られた18,333名の分析を行った。その結果、全分娩のうち、何らかの先天異常のある児は339件(1.9%)であった。妊娠期間、生死流産の割合、出生児体重は先天異常の有る児と無い児と間に有意差がみられた(P<0.001)が、児の性別や母親の分娩時の年代には2群に有意差は認められなかった。分娩年毎の先天異常を持つ児の出生頻度も差はみられなかった。発生頻度(出産1万対)の最も高い先天異常は心室中隔欠損症、多指(趾)症、停留精巣・非触知精巣、Down症候群、水腎症等であった。北海道スタディの出生頻度は、JAOG報告(2007~2010年)0.8%前後や南アメリカのECLAMC報告0.7~1.0%よりも若干高いが、JAOGやECLAMCとは集計対象児の基準が異なるためであると考える。先天異常の頻度を年次推移でみると1.0~2.3%であり、先天異常の頻度は大きな増減無く推移していた。これはJAOGの結果とも同様であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在の勤務場所はH24年度に新設した教育機関であり、研究初年度は定員が教授1名欠員だったこともあり、教育環境整備、組織整備などの校務を優先させた。平成25年度は教員は定員確保されたが、開学2期目ということで教育内容の充実、教育環境整備などの校務を優先させた。そのため、研究時間を十分に確保できなかった。それらの状況のために、当初の研究計画よりも研究遂行が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は出産後血を使用して葉酸代謝関連遺伝子一塩基多型分析を実施していくため、データセット作成しケース群(先天性単一奇形発生)とコントロール群を1:4の比率で選定する。その後、葉酸代謝関連遺伝子多型の解析し、妊娠初期血清葉酸値データと妊娠初期の生活環境との関連を分析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度は、葉酸代謝関連遺伝子のSNPs解析も行う予定であったため、解析に必要な物品購入やデータ整理等の人員確保などのために2,730,000円を予算計上した。しかし、「11.現在までの達成度」に記載したように校務優先し,研究時間の確保が困難であったために、研究進行が滞った。 H26年度は葉酸代謝関連遺伝子一塩基多型分析実施のための検査試薬等の購入、遺伝子分析や論文作成に向けた文献購入、文献・データ整理に関する人員確保、研究成果の発表などを中心に研究を使用する予定である。
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