2013 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災後の子どもと保護者・保育者の健康を支える総合的支援に関する研究
Project/Area Number |
24593375
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
遠藤 芳子 宮城大学, 看護学部, 教授 (20299788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 淳子 宮城大学, 看護学部, 教授 (50157450)
大池 真樹 宮城大学, 看護学部, 助教 (70404887)
塩飽 仁 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50250808)
三上 千佳子 宮城大学, 看護学部, 助教 (90549990)
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Keywords | 東日本大震災 / 子どもの健康 / 保護者の健康 / 保育者の健康 / 総合的支援 / 支援体制 |
Research Abstract |
本研究の目的は、宮城県内の幼稚園、保育園(所)の被災状況、通園(所)する子どもとその保護者・保育者の心身の健康の実態から支援ニーズ・心労の地域差・必要なケアと必要なケア提供のための体制について明らかにすることである。 今年度は、先行調査のまとめと検討後に支援体制を検討することであった。先行研究の一部を第16回北日本看護学会学術集会で発表した。目的を被災地の子どもの保護者と保育者の心的外傷性ストレス症状の様相を明らかにし、総合的支援検討の基礎資料とすることとした。対象は、津波と地震による被災地(A地区)、地震による被災地(B地区)の子どもの保護者と保育士654名であった。心的外傷性ストレス症状を測定した結果、A地区において、PTSDハイリスクの保護者と保育者が多いことが明らかになった。しかし、PTSDハイリスク群の約3割はB地区の保護者と保育者が占めていることから、PTSDハイリスク者は被害の状況のみに影響を受けているものではなく、各地区の様相を踏まえた上で、広域を対象として支援を行っていく必要があると考えられた。今後、継続的に、対象者の健康状態などとの検討を行い、支援していくことが重要であると考察された。また、「東日本大震災直後と一年半後の学童の表情や行動の変化と母親の思い」も報告した。日本小児看護学会の災害対策委員会主催「災害に備えて子どもを守る-医療現場で看護師に求められること-」というテーマの研修会(於2014年3月9日名古屋大学)において宮城県立こども病院安全対策室師長と広島市民病院の小児病棟師長から講演があり、勝田(岐阜県立看護大学)と遠藤が座長を務めた。今後は、日本災害看護学会にまとめた研究を発表していくが、すでに震災から3年経過しており、対象地域のニーズの変化も考えられ、まずは、対象者が受けたボランティア活動やその評価について実態調査が必要であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の予定のうち研究目的に対して、計画していた2点について、1.先行調査(宮城大学震災復興特別研究)のまとめについて先行研究の一部を分析しまとめたものを第16回北日本看護学会学術集会で発表した。まだまだ、データの整理及び分析が必要である。 2.支援体制の検討について、被災した子どもとその保護者および保育者のニーズの明確化と支援体制の検討までの実施に至っていない。しかし、発表した報告内容から今後も継続的に、保護者と保育者および子どもの健康状態などとの検討を行い、長期的な視点での総合的支援方法を確立し、実践につなげていくことが重要であると考察されており、さらに残っているデータを整理し、研究としてまとめたものを災害看護系の学会に報告していく予定である。しかし、すでに震災から3年経過しており、対象地域のニーズの変化も考えられ、まずは、対象者が受けたボランティア活動やその評価について実態調査が必要であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 今後の研究の推進方策 平成26年度には、残っているデータの分析とまとめ後災害看護系の学会に報告していく、さらに必要な支援について検討を研究者間で行う。総合的支援活動についての吟味及び必要性についても検討する。 支援の希望のあった保育園や幼稚園に対して総合的支援活動の必要性について確認しながら、他の沿岸部(気仙沼市、多賀城市)について調査を実施していく。調査結果から沿岸部・内陸部における子どもとその保護者および保育者の心身の健康状況について比較分析を行う。 2. 次年度の研究費の使用計画 総合的支援活動に必要な遊具の調達、現地活動のための交通費、まとめた研究発表などの旅費とする。さらに調査した対象者(施設)およびデータ入力などの謝金とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
先行研究のまとめが進まず、遅延したために、次の事業に進むことができなかった。そのため、旅費や謝金等の支出が少なかった。 先行研究のまとめが進み、2014年8月の日本災害看護学会にて発表する予定である。さらにまとめるためのアルバイトを雇うことも計画している。よって、学会出張のための旅費とデータ入力作業にかかる人件費、および学会誌への投稿、別刷り代金として使用していく。また、震災地へのボランティア活動を見直すためにアンケート調査などを実施しするための通信費にも使用する。
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Research Products
(7 results)