2014 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災後の子どもと保護者・保育者の健康を支える総合的支援に関する研究
Project/Area Number |
24593375
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
遠藤 芳子 宮城大学, 看護学部, 教授 (20299788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 淳子 宮城大学, 看護学部, 教授 (50157450)
大池 真樹 宮城大学, 看護学部, 助教 (70404887)
塩飽 仁 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50250808)
三上 千佳子 宮城大学, 看護学部, 助教 (90549990)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 子どもの健康 / 保護者の健康 / 保育者の健康 / 総合的支援 / 支援体制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、宮城県内の幼稚園、保育園(所)の被災状況、通園(所)する子どもとその保護者・保育者の心身の健康の実態から支援ニーズ・心労の地域差・必要なケアを明らかにし、必要なケア提供のための体制について整備し支援していくことである。 今年度は、先行調査のまとめを行い、看護系の学会に発表していくことであり、先行研究の一部を日本災害看護学会第16回年次大会と第17回北日本看護学会学術集会で発表した。「保護者からみた幼児の心身の健康状態」では、幼児と保護者の健康状態の関係をみると、幼児の心身の健康状態については、沿岸部と内陸部とも殆どの項目において、保護者自身の健康状態が「健康ではない」と答えた保護者が「健康」と答えた保護者より「幼児に心配な症状がある」と高い割合で回答していたため、保護者の健康状態が幼児の心身症状の出現に関連があると考えられ、沿岸部と内陸部の双方へ、特に沿岸部では津波の被害を考慮した長期的な支援の検討が必要であると考察された。「保護者・保育者の心的外傷性ストレス症状の調査」では、沿岸部において、PTSDハイリスクの対象者が多いことが明らかになった。しかし、PTSDハイリスク群の約3割は内陸部の対象者が占めていることから、自然災害によるストレスは、被害状況からだけの影響を受けているものではなく、被災地全域の保護者・保育者の心的外傷性ストレス症状の様相を踏まえた上で、広域に行っていくことが必要であると考察された。「幼稚園・保育園(所)施設の被害状況と園児・施設職員の健康状態および支援ニーズ」では、沿岸部の園児や職員に気になる症状が記載されており、被災状況が少なからず健康状態に影響していたと考えられた。また、相談相手はいるものの、気になる症状を呈する園児への対応に苦慮していることが伺えた。支援活動を希望する施設がなかったことから、実働はできなかった。等の報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度の予定のうち研究目的に対して、計画していた2点について、 1.先行調査(宮城大学震災復興特別研究)のまとめについて 先行研究の一部を分析しまとめたものを日本災害看護学会第16回年次大会と第17回北日本看護学会学術集会で発表した。更にデータの整理及び分析が必要である。 2.支援体制の検討について データから今後も継続的に、保護者と保育者および子どもの健康状態などとの検討を行い被災した子どもとその保護者および保育者のニーズに対応する支援体制つくりと計画について考えていたが、災害から半年での精神状態を考慮すると致し方ない結果であったものと推察でき、実際に支援を希望する施設は無いため、支援活動は不可能と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 今後の研究の推進方策 平成27年度は、残っているデータの分析とまとめ後災害看護系の学会に報告していく。 被災後5年目に入る現在では、当初の状況との変化も大きく、被災時の宮城県内の幼稚園、保育園(所)の被災状況、通園(所)する子どもとその保護者・保育者の心身の健康の実態から支援ニーズ・心労の地域差・必要なケアを明らかにする予定である。 2.次年度の研究費の使用計画 「東日本大震災後の子どもの保護者の心的外傷性ストレス症状」の報告を2015年6月ICN学術集会(於:韓国ソウル)にて発表予定であるため、旅費に充てる。また、調査対象者(施設)およびデータ入力などの謝金とする。
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Causes of Carryover |
平成25年度~26年度に、データの分析を行い、災害看護学会や看護系学会で発表してきたが、さらに対象者別のデータ分析を進めていたところ、一部のデータ入力の間違いを発見し、整理と確認に時間を要し、まとめきれなかったために未使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の理由のため、解析と発表を行うこととし、未使用額はその作業と学会発表旅費の費用に充てる。
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