2014 Fiscal Year Annual Research Report
乳児の健全な睡眠-覚醒リズム確立を促すための遠位-近位部温度勾配の応用
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24593400
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Research Institution | The Japanese Red Cross Akita College of Nursing |
Principal Investigator |
阿部 範子 日本赤十字秋田看護大学, 看護学部, 講師 (90442011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兒玉 英也 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30195747)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 遠位-近位部温度勾配 / DPG / 乳児 / 睡眠 / 概日リズム |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度調査では人為的に遠位-近位部温度勾配(distal-proximal skin temperature gradient:以下DPG)を上昇させることと、乳児の寝つきや睡眠の質との関連性を明らかにした。生後3~4ヵ月の乳児を対象とした。皮膚温の計測はLT-8Aを使用し、DPGを算出した。足の保温のために1日は入浴後に靴下を履かせてもらい、他の1日は裸足で寝かせてもらって比較した。さらに夜間児が寝付く前に、児の足首にアクチグラフを装着し、入眠時刻と入眠の質を観察した。 靴下の着用により消灯後DPGが上昇できた児は約7割であり、靴下着用の場合平均0.88℃の上昇、裸足の場合1.89℃の上昇であった。消灯後のDPG上昇が見られた児と見られない児の寝つきと睡眠の質の値の平均を比較すると、入眠潜時(消灯から入眠までに要する時間)22分・38分、pslp(睡眠時間の割合)94.4%・96.4%、 msep(1回の平均睡眠時間)159.1分・115.0分、lgsep(最長睡眠時間)251.9分・276,7分と、質のばらつきが見られた。DPGが増大した児のうち、両者を比較すると、有意な差は認められないが入眠潜時30分・15分、pslp94.5%・94.3%、 msep184.0分・136.7分、lgsep271.9分・234,0分と、靴下着用の場合の睡眠の質が良い傾向が見られた。裸足に比較し、靴下着用の場合のDPG上昇が少いのは、入浴後に靴下を履くことで、すでに遠位部皮膚温が上昇し、同時に近位部皮膚温の下降が行われていたことによる。睡眠の質に関し両者差は認められなかったが、入浴後に靴下をはかせ、熱放散がある程度高まった状況を誘導しゆっくり入眠させることで1回の平均睡眠時間や最長睡眠時間が長くなる傾向が見られたことは、夜間長時間眠る、成人に似た概日リズム形成の手助けとなる可能性がある。
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