2013 Fiscal Year Research-status Report
医療介入が必要な重症乳腺炎診断アセスメントツールの開発
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24593405
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
長田 知恵子 静岡県立大学, 看護学部, 講師 (30458393)
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Keywords | 母乳育児支援 / アセスメントツール / 乳腺炎 |
Research Abstract |
現在、授乳期の乳腺炎に対して共通見解を得ている鑑別診断や判断基準がないことから、これまで重症乳腺炎ケースの医療介入のタイミングを見極めるアセスメントツールとして「授乳期の乳房診断アセスメントツール」について検討してきている。しかしツールの汎用性の視点からの調査がない。そこで、平成25年度の調査研究の目的は、「授乳期の乳房診断アセスメントツール」を開発する過程として、新人や若手助産師も重症な乳腺炎について見極められる際にツールが有用であるかを検討することであった。平成24年度に実施した内容妥当性および表面妥当性を検討した(日本ヒューマン・ケア心理学会で口頭発表)アセスメントツールを用いて、以下のような方法で調査している。なお、調査を行う前に所属大学であった静岡県立大学の倫理審査委員会の承認を得てから行った。 調査方法は、調査施設に来院した母親に調査の目的等を説明し、協力同意を口頭および文章で得られた後に実施した。具体的な調査方法としては、通常の母乳育児支援の際に、基本属性を問う質問紙への回答および乳房の超音波検査、乳汁の培養検査を実施した。また調査後の状態を把握するために、2回目の質問紙を電話あるいは郵送での回答を依頼することとした。 その結果、調査施設は母乳育児相談室1箇所で、ベテラン助産師1名、ビギナー助産師2名、計3名の助産師と乳汁生成第III期の母子55組の協力を得て調査することができた。現在、対象乳房数は112で、このうち最終質問紙の回収は48部で、回収率82.3%である。 現時点での調査状況としては、調査で得られたデータを入力し、信頼性や妥当性の検討のほか、ベテランとビギナー助産師のアセスメントツールの項目についての一致率等の分析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度の調査は、事前に調査協力施設との調査協力の同意を得て行うことで、順調に調査が実施できる予定であった。調査協力施設の責任者とは、倫理審査の了解を得られた後すぐに事前説明を行い、同意を得ていた。また超音波検査や細菌学的検査の業者とも連絡、手順の確認も終えていた。しかし、調査を実施する段階になって、調査日程を再調整する必要性があった。理由として、協力施設は、母乳育児支援を行う助産師を要請している教育機関へ協力している施設である。これまでの実習期間を加味し、今回の調査期間を決めたが、教育機関から急な実習期間の変更があったため、調査期間を変更せざるをえなかった。さらに、これまでの先行調査での最終質問紙の回収率は92.1~95.6%であったが、今回の調査での回収率は82.3%であった。 以上のことより、「授乳期の乳房診断アセスメントツール」の汎用性の検討をするには、さらに調査期間を延長する必要性があると考える。そのため、平成25年度の調査の一部が平成26年度に実施することとなり、調査遂行状況としては、予定が多少遅れている。しかしこの調査に関しては、倫理審査委員会の承認や協力機関の了解はすでに得られており、具体的な日程を調整している段階であり、間もなく実施、終了する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の調査は、これまでの調査結果をふまえ、“授乳期の乳房診断アセスメントツール”の臨床的有用性を検討する。具体的な方法は、以下に示す。 対象施設は、乳汁生成III期の母子に対し母乳育児支援を行っている施設である病産院の母乳外来や地域で開業している母乳育児相談室、授乳期の乳腺炎を診療している病院の乳腺外科等とする。調査協力助産師は、母乳育児支援を実際に行っている方で調査協力の同意を得られた10名程度とする。協力母子は、協力助産師から支援を受けており調査協力に同意を得られた500名程度とする。調査内容は、平成25年度の調査同様、助産師には基本情報用質問紙を1回と、協力母子毎に本研究で開発中のアセスメントツールの記載を依頼する。また協力を得られた母親には、基本情報用質問紙と調査後の状況を知るための質問紙の記載を依頼する。得られたデータの分析は、基本属性の分析の他、項目分析や信頼性、妥当性の分析、感度、特異度以外にも、施設ごとにクラスター分析を行う予定である。また本研究では開発するアセスメントツールが、医療介入が必要な重症乳腺炎を見極めているかを確認するため、予測度や項目間の関係性をみるためにパス解析も実施する予定である。 なお、調査を実施する際には、所属機関の倫理審査会の承認を得てから行う。また調査データは、個人が特定されないよう配慮する。得られた調査結果は、母乳育児支援に関する学会あるいは看護に関する学会で発表、学会誌への投稿を行っていきたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に実施した調査が年度末であり、業者への支払いが年度をこえたことと、またこれからさらに追加調査をすることから、平成25年度に業者への支払いをする予定であったものが、平成26年度になったためである。 平成25年度の調査において、外的評価基準である乳汁採取による細菌培養検査を実施した。最終質問紙の回収率を検討した結果、さらに追加調査が必要となった。 調査を実施するにあたり、印刷や旅費等もかかるが、主な使用方法は、外的基準として細菌培養検査と超音波検査に対し、検査の解析や機材のレンタルにかかる費用である。
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Research Products
(1 results)