2012 Fiscal Year Research-status Report
子どもの虐待予防に向けた連携と協働モデルの開発―親性と家族機能に焦点をあてて―
Project/Area Number |
24593414
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
大橋 幸美 中部大学, 生命健康科学部, 講師 (00552986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 みどり 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30257604)
山口 知香枝 名古屋市立大学, 看護学部, 講師 (70514066)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 育児支援 / 虐待予防 / 家族看護 |
Research Abstract |
親性と家族機能に焦点をあて、子どもへの虐待予防のために、出産施設と地域保健機関との連携と協働の開発モデルを開発することを目的に研究を進めている。妊娠期・出産・育児期の継続的看護の視点からアンケート調査を含む研究であるが。平成24年度はまず、虐待予防における現状把握とアンケート内容の項目、特に親性と家族機能に影響すると考えられる内容の検討を1年目の課題としていた。親性と家族機能への影響要因については、出産後の親を対象とした継続的なアンケート調査の属性として問う内容である。 24年度の研究の成果として、親性と家族機能に影響する要因を再検討するために、文献検討と、合計特殊出生率が、全国平均よりも高く(平成23年1.64)地域・家族特性に特徴的な地域である鹿児島県の沖永良部島(人口約13850人平成24年、合計特殊出生率1.64(鹿児島県)のフィールド調査を行った。地域特性や家族構成が親性と家族機能に非常に大きく影響することを再認識することができた。 また、子ども虐待防止の現状把握のために「日本助産学会」「日本母性衛生学会」「日本子ども虐待防止学会」に参加し、関係職種の方々と活発な意見交換を行った。 さらに、ドイツのバーデン・ヴュルテンベルグ州のハイデルベルグで行われている。「Fruhe Hilfen und Kinderschutz」システムのHEIdelberg Kinderschutz Engagement( HEIKE)で行われているの現状を視察した。Keiner fallt durchs Netz をスローガンに、妊娠期から子どもと家族を守るために多職種が連携して活動しており、その中心的役割としてFamilien-hebammenという存在があり、特に産後の家庭訪問な度を行うことで家族に寄り添う看護が行われていることを知ることができ、今後の研究に生かしていきたいと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学会に参加し、研究成果を発表し、多職種の方々と積極的に意見交換を行い、子ども虐待予防に向けてモデル開発に関する多くの助言をいただいた。 沖永良部島(平成24年11月)に育児期の親357名(母親207名・父親150名)を対象に行った調査研究の結果、属性は、親の平均年齢36.63±6.58歳、子どもの平均月齢38.86±23.43ヶ月、核家族293名(82.1%)複合家族34名(9.5%)であった。Cronbach'sの信頼係数は、育児期の親性尺度33項目α=0.946(下位尺度α=0.878~0.896)家族機能尺度(FAI)30項目α=0.944(下位尺度α=0.772~0.887)であり信頼性が確認できた。育児期の親性とFAIとの関連性についてみると、r=0.61で中程度の正の相関がみられ関連性が明らかになった。育児期の親性と家族機能に影響する要因として、「最終学歴」「親の心身の状態」「子どもの様子」「育てにくさ」「子育ての不安」「生活の不安」「経済の不安」「役割分業観」「被養育体験」「家族形態」が挙げられ、親と家族機能を把握する上でその属性としてアンケート項目として取り上げる必要があることが再確認できた。 さらにドイツのハイデルベルグ市で取り組まれている、Fruhe Hilfen und Kinderschutz」システムのHEIdelberg Kinderschutz Engagement(HEIKE)では、妊娠期からの関わりとFamilian-hebammenといわれる助産師の役割の重要性が強調されており改めて妊娠期・出産・子育て期と継続して子ども虐待予防のために家族に関わることの必要性が認識できた。1年間の取り組みから初年度として予定していた研究の目的をほぼ達成できたと考える。今後に生かしていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
出産施設と地域の保健センター(保健所)等、協力機関施設間による約50組の家族の把握と支援実施:1)出産施設において、出産後と1ヶ月健診時の2回母親と父親を対象にアンケート調査(属性等、育児期の親性尺度、家族機能尺度)を行う。2)地域の保健センター(保健所)では、新生児訪問時と6ヶ月後までに(新生児訪問や健診時に)に数回出産後と同様の内容でのアンケート調査を行う。調査手続き:研究者が所属する研究機関の倫理委員会の倫理審査を受けたあと、各機関に調査依頼を行う。了解の得られた機関においては、関係者全員から個人情報の取り扱いについてその保管場所や情報の提供について文書と口頭で説明と誓約書・同意書に記載していただく。調査対象者については、出産後に口頭と文書にて研究の趣旨と個人情報の取り扱いについて、自由参加でよいこと、調査を途中で辞退しても治療等不利益を被ることはないことを説明し、夫婦ともに同意書に記載していただいた時点で同意とみなす。調査期間:平成25年12月~平成26年3月(配布予定)調査方法:調査機関において、調査用紙を配布し、回答後、回収可能な場合は留め置きとし、他の方法として郵送にて回収を行う、夫婦間であってもプライバシーの保護が確保されるように、個別の封筒(小)を用意する。各機関においては、それぞれの家族について、ファイリングをし、鍵のかかる棚に保管する。分析方法:統計ソフトを用いた統計的分析を行う。育児期の親性尺度と家族機能FAIの 相関関係と、育児期の親性と家族機能に影響を与える要因については、重回帰分析を行う。(平成26年度にかけて行う)本研究の課題として、「育児期の親性尺度」と「FAI」のツールについて、回答と評価をより楽に行うための工夫をこらすことも、今後の研究の課題にしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「該当なし」
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