2012 Fiscal Year Research-status Report
漏斗胸術後金属バーを体内留置して学校生活を送る子どもの遊び・運動プログラムの開発
Project/Area Number |
24593421
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
中新 美保子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (00319998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
難波 知子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (30441489)
植村 貞繁 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40160220)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 子ども / 学校生活 / 漏斗胸 / 遊び / QOL |
Research Abstract |
本研究は、漏斗胸治療のために胸郭挙上手術(Nuss法)を受け、金属バーを胸郭下に体内留置したまま学校生活を送る子どもに対して、安全で楽しい学校生活を支援することを目的とした遊び・運動プログラムの開発を目指すものである。平成24年度は、以下の2つの調査研究と同時に手術を受けた子どものQOLに関する文献検討を行った。 1.漏斗胸に対するNuss法施行後の小・中・高校生の遊び・運動の実態に関する前向き研究 平成24年8月より共同研究者植村の勤務病院の小児外科において調査を開始した。質問紙は、文献検討と情報収集から小学生低・中・高学年、中高校生別の4種類の調査票を作成し、手術後2年間の6時点(手術後1ヶ月・2ヶ月・3か月・6ヶ月・1年・2年)において、患児が、調査票に、実際に行っている遊びや運動に○印をつけることによって、実態を把握することとした。調査票の運動に関する項目は日本学校保健会作成の学校生活管理指導表の記載から抽出した。この実態を明らかにすることは、今後の遊び・運動のプログラム開発の基礎資料となり、患児・家族および学校関係者の具体的な遊び・運動の判断に極めて有益であり、子どもたちのQOL向上に寄与できる点に大きな意義がある。 2.養護教諭への質問紙調査:胸郭異常のある子どもの学校保健管理に関するアンケートの実施 目的は、先の調査で対象となった子どもの学校生活におけるQOL向上をめざして、遊び・運動のプログラム開発に反映させることを前提に、胸郭異常をかかえる子どもに対する学校での保健管理や漏斗胸手術後の学校生活管理の現状及び学校関係者の困難感の基礎的資料を得ることである。対象は、学校保健の中核を担う養護教諭とし、質問内容は、学校における胸郭異常の把握方法と事後措置に関する項目、術後の学校生活における子ども・担任・養護教諭・保護者の困難感や対応・支援に関する項目とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.漏斗胸に対するNuss法施行後の小・中・高校生の遊び・運動の実態に関する前向き研究では、平成24年度末において42人の研究協力者を得ることができ、データ入力と整理・分析を重ねることができている。現時点で分析できたことは、「日本の学校健診における胸郭異常のスクリーニングとNuss手術を受けた患者の受診動機」及び「Nuss手術後3カ月までの運動・遊びの実態」である。調査成果は、平成25年度に開催されるChest Wall Interest Group (CWIG) Meeting - Asia(韓国ソウル:ソウル聖母病院)、日本看護学会学術集会(小児看護、栃木)にエントリーし、学会発表を行う予定である。また、この調査に先立ち、岡山県の学校保健統計の胸郭異常に関する30年間の被患率と治療率をデータ化して第23回小児外科QOL研究会(仙台)にて公表した。 2.養護教諭への質問紙調査:胸郭異常のある子どもの学校保健管理に関するアンケートでは、先の植村が勤務する病院のある岡山県の小中学校に勤務するものを対象とした。564校に発送し70%に当たる395校より返送があった。現在、データーを入力・分析中である。 3.漏斗胸手術(Nuss法)を受けた子どものQOLに関する文献検討 Nuss法により漏斗胸手術を受けた子どものQOLに関する現状について、海外文献も含めて現状を明らかにし,今後の課題解決に資することを目的に検討を行い、川崎医療福祉学会誌に投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.漏斗胸に対するNuss法施行後の小・中・高校生の遊び・運動の実態に関する前向き研究の継続と新たな対象者への調査の開始する:調査期間は2年間に及ぶため、昨年度より調査を開始している対象者のデータ収集と分析を継続する。また、今年度手術を受ける患児への調査研究を依頼し、データ数を増やす。 2.試作版プログラムの作成:収集されたデータを入力し、試作版プログラムを作成する。 3.プログラム開発のための情報収集:Chest Wall Interest Group (CWIG) Meeting - Asia(韓国)に参加し、世界から集まる研究者からNuss法手術後の運動・遊びとQOLに関する最新の情報を得る(当初予定していたナス法開発者ドナルド・ナス博士を訪問する海外研修は植村の診療との兼ね合いにより延期する)。 4.研究成果の公表 1)Chest Wall Interest Group (CWIG) Meeting - Asia(韓国)において、「日本の学校健診(school medical examination)における胸郭異常のスクリーニングとNuss手術を受けた患者の受診動機についてのアンケート調査」について発表する。2)日本看護学会学術集会(小児看護、栃木)において研究成果を発表する。3)学校保健学会において研究成果を発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画では、平成25年度にナス法開発者ドナルド・ナス博士を訪問する海外研修を予定していたが、早期に状況把握した方がプログラムの開発に有効であることから、平成25年度予算を前倒し請求し、その準備に備えた。しかし、その途上で共同研究者の植村の診療体制が変更し海外研修を延期せざるを得なくなったため、1,364,824円の次年度使用額が発生した。この研究費は、平成25年度韓国で行われるChest Wall Interest Group (CWIG) Meeting - Asiaへの参加費(植村・難波・中新)に使用する。この研究会は全世界から胸郭異常の研究者が集まる勉強会であり、当初予定していたナス法開発者ドナルド・ナス博士の元で多くの症例を見てきた研究者も参加するため、成果の発表と共にこの場での情報収集を行うことで研究計画に支障はきたさない。しかし、平成26年度、植村の診療体制が整った時点において、アメリカでの視察は行う予定にするため、一部の予算は、平成26年度への繰り越しを予定している。
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Research Products
(3 results)