2013 Fiscal Year Research-status Report
漏斗胸術後金属バーを体内留置して学校生活を送る子どもの遊び・運動プログラムの開発
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24593421
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
中新 美保子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (00319998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
難波 知子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (30441489)
植村 貞繁 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40160220)
川崎 数馬 川崎医療福祉大学, 医療福祉マネジメント学部, 助教 (40633863)
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Keywords | 漏斗胸 / Nuss法手術 / 子ども / 学校生活 / 運動 / 遊び / QOL |
Research Abstract |
平成25年度は,遊び・運動の実態に関する調査を継続すると同時に,ここまでの調査で解明できたデータを整理して学会発表及び論文投稿を行い,成果の公表に努めた. 1.漏斗胸に対するNuss法施行後の小・中・高校生の遊び・運動の実態 本年度は,手術後2年間の6時点(手術後1ヶ月・2ヶ月・3か月・6ヶ月・1年・2年)のうち,術後3カ月までの運動・遊びの実態を整理できた.小学生では,(1)「とぶ」は,1ヶ月で5%,2ヶ月で33%,3ヵ月で43%の実施であった.(2)「ブランコ」「すべり台」は,1ヶ月の実施が29%,19%,2ヶ月では,43%,38%,3ヵ月では57%,48%であった.(3)「立ち幅跳び」「高跳び」「ドッチボール」「サッカー」「自転車」は,術後1ヶ月は全員が未実施,2ヶ月での実施割合は各項目5%~14%,3ヵ月は5%~29%であった.(4)「歌を歌う」「楽器の演奏」は,1ヶ月でそれぞれ86%,62%,3ヵ月になると96%,81%の実施であった.(5)「跳び箱」「マット運動」「鉄棒」は,1・2・3ヵ月の3時点において全員が未実施であった.中・高校生の結果においても同様の結果であり,活動制限が解かれている時期における運動の実施の少なさを研究グループにおいて検討した. 2. 学校における胸郭異常のある子どもの学校保健管理に関する調査 「学校健診における胸郭異常のスクリーニングとNuss手術を受けた患者の受診動機」では,学校健診はスクリーニングをするにとどまり,専門医の受診にまでは結びつけられていないことを明らかにした.また,養護教諭を対象に実施した「A県小中学校における胸郭異常のスクリーニングの実態と課題」では,学校健診において胸郭異常のスクリーニングの精度は高いと言えないこと、6人に1人の養護教諭が,ナス法手術を受けた子どもと出会っており関わりの頻度が高いことがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究目的は,漏斗胸Nuss法手術後金属バーを胸郭下に体内留置したまま学校生活を送る学童期の子どもに対して,安全で楽しい学校生活を支援することを目指した,遊び・運動プログラム「何してあそぼ~ナス法手術後の遊びと運動~(仮称)」の開発である.昨年度の本報告書に記述した「今後の研究推進方策」の項目を着実に実行したため,目的達成度は上がっている.具体的には,以下のとおりである. 1.漏斗胸に対するNuss法施行後の小・中・高校生の遊び・運動の実態に関する前向き研究の継続と新たな対象者への調査を進めた結果,今年度は34人の調査協力者を得ることができ,前年度と合わせて76人のデータ収集を進行できている. 2.試作版プログラムの作成については,収集されたデータを随時入力し,小学生の3か月時点での運動・遊びのデータを整理できた. 3.プログラム開発のための情報収集としてChest Wall Interest Group (CWIG) Meeting - Asia(韓国)に参加し,世界から集まる研究者からNuss法手術後の運動・遊びとQOLに関する最新の情報を得ることができた. 4.3か月時点のデータを研究メンバーにおいて検討し,運動実施が少ないことに対して早期の運動開始の必要性が示唆された。解決のための一方法が医師より指示され,研究成果がすでに臨床において活用され,患児および家族への利益に貢献している.
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Strategy for Future Research Activity |
1.漏斗胸に対するNuss法施行後の小・中・高校生の遊び・運動の実態に関する前向き研究において,術後6時点における追跡調査を継続する.そのための倫理継続申請を行う. 2.収集されたデータを随時入力して整理し,試作版プログラムを改良する. 3.術後6カ月までの運動・遊びの実態の公表とプログラム開発のための情報収集として15th CWIG MEETINGに参加し,世界から集まる研究者からNuss法手術後の運動・遊びとQOLに関する最新の情報を得る. 4.整理できたデータを整理して関係学会で発表し,論文を作成する. 5.27年度に実施予定である「試作版プログラムの公開勉強会(全国規模)」に向けた準備に取り組む.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度CWIG国際学会(胸壁異常に関する研究会)の開催国をアメリカと考えて予算を立てていたが、韓国で実施されたため経費が少なく参加できたため、次年度の当該学会に参加するために繰り越した。 1.継続して運動遊びの実態調査をおこなうためのUSBメモリーやデータ入力のための謝金代、2.研究成果の発表と最新の情報収集のためデンマークで開催されるCWIG国際学会および日本で開催されるNuss法手術手技研究会参加のための参加費と出張旅費、3.研究成果発表のため学校保健学会への参加費と出張旅費、4.小児に関する現代の問題点などを情報取集するために日本看護協会ヘルスプロモーション学会への参加費と出張旅費を26年度予算としている。5.一部は27年度の成果発表に国際学会への参加を考え、繰り越し予定とする。
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