2014 Fiscal Year Research-status Report
漏斗胸術後金属バーを体内留置して学校生活を送る子どもの遊び・運動プログラムの開発
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24593421
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
中新 美保子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (00319998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
難波 知子 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (30441489)
植村 貞繁 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40160220)
川崎 数馬 川崎医療福祉大学, 医療福祉マネジメント学部, 助教 (40633863)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 漏斗胸 / Nuss法 / 子ども / 学校生活 / 運動 / 遊び / QOL |
Outline of Annual Research Achievements |
1.平成26年度は、運動・遊びの6時点での実態について引き続きデータ収集に勤めた。同時に平成25年度から追加調査している術後QOLについてもデータ収集した。倫理委員会には中間報告を行った。 2.術後6か月までの運動・遊びの実態を15thCWIG Meeting(韓国)で発表し、また、全世界の情報を聴講しデスカッションに参加することによって、日本の運動・遊びの実施が非常に遅れていることが明らかになった。 3.2の結果を受けて、今後の運動・プログラムについて検討し「早期から運動を勧める」ことが必要であることを確認した。それを具現化するために、対象児が入院する病棟スタッフの参集を求め勉強会を開催、今後の方向性について説明(平成26年8月)、実践への協力を依頼した。実践の概要は(1)子どもと母親・家族に不安なく運動・遊びの進め方を指導するために、退院後の困難事項を把握する(個人用情報シートの新規作成)(2)運動を促進させる退院指導への変更(退院指導リーフレットの新規作成)(3)手術直後からの積極的な運動開始(漏斗胸運動プログラムの新規作成)の3点であった。 4.3.の実践は、本研究の重要な成果として、至急に他の医療施設に公表することが科研費研究の使命と判断し、平成26年9月に開かれたNUSS法手術手技研究会で報告し、直ちに川崎医療福祉学会に論説として投稿、平成27年3月に採択・公表された。本情報はインターネットにて入手可能である。また、「学校における胸郭異常のある子どもの学校保健管理に関する調査」についても学会発表し、養護教諭が本疾患対象児の問題に気づくことに寄与できた。 5.平成27年度に実施予定としていた「試作版プログラムの公開勉強会」については、「知っていますか、漏斗胸術後の運動・遊びについて」として、勉強会を日本学校保健学会・学術集会(開催地:岡山市)で行うべく準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究目的は、漏斗胸Nuss法手術後金属バーを胸郭下に体内留置したまま学校生活を送る学童期の子どもに対して、安全で楽しい学校生活を支援することを目指した、遊び・運動プログラム「なにして遊ぼう~ナス法手術後の遊びと運動~(仮称)」の開発である。平成26年度の研究の推進方策を達成しているので、おおむね順調である。 1.総対象者は77名であり、運動・遊びに関しては6ヵ月までの結果を報告している。 2.試作版プログラムの作成は、現在退院時の方法について提案している。今後6時点に結果を出すことによって順次プログラムが完成していけるが、調査開始から年月が経ていることから運動・遊びあるいは術後QOLのデータとも回収率が低下している点が気がかりであるため、データ収集に努める必要がある。 3.平成26年度に15th Chest Wall Interest Group Study(デンマーク)に参加することによって、日本は術後の運動・遊びの回復が遅いことが示唆されたことによって、メンバー内で討論し退院時の方法を提示することができた点が大きく前進につながった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.手術後の子どものQOLについて、現在回収している対象者のデータを16th Chest Wall Interest Group Study(香港)に参加して報告するとともに、運動・遊びについての最新の情報を得る。 2.引き続き、データの回収を行い、12か月・24か月後のデータ、および1年後のQOLのデータが多く収集できるように努める。 3.平成27年度は日本学校保健学会・学術集会において、「知っていますか、漏斗胸術後の運動・遊びについて」をテーマに学校保健に関わる皆さんへの情報提供を行い、知識を持っていいただくとともに、学校側の問題を情報取集する。 4.平成28年度は本研究の最終年度であることを考えて、途中経過として12か月時点の結果を学会にて公表する。また、最終的なプログラムの開発ができるよう対象者の数を確保したうえで、最終データが出せるように準備に取り組む。
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Causes of Carryover |
平成26年度当初の予定では、国際学会に参加し本研究を世界基準で検討するにより知見を提供できると考え、平成27年度国際学会参加のため215,499円の繰り越しを予定していた。しかし、当初の予定より繰越額が増えた。これは、研究データの入力作業に雇用していた研究協力者の体調不良により、入力作業を研究者が行ったことによる人件費の減額が影響したものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1.平成27年度香港で行われるCWIG国際学会(香港)参加の旅費と参加費(3人分):医師、看護師、学校側養護教諭のそれぞれの立場の3人が参加し、本研究データの中の「子どもの術後QOLの実態」に関する発表と運動・遊びの最新情報を収集する。2.Nuss法手術手技研究会参加費と旅費(1人分):日本の最新の情報収集。3.学校保健学会(岡山)に参加および学会員への情報提供・勉強会を企画する。そのために会議費を使用する。 4.国際学会での動向が非常に重要であるため、平成28年度国際学会参加への発表と参加のために一部は平成28年度の成果発表を視野に、繰越予定とする。5.入力できていないデータや収集できていないデータの整理に努める。そのため人件費として使用する。
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Research Products
(10 results)