2014 Fiscal Year Research-status Report
精神障害者の地域生活を支援する市町村保健師のケアマネジメント指標の開発
Project/Area Number |
24593442
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前野 有佳里 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20432908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳩野 洋子 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20260268)
宮園 真美 福岡県立大学, 看護学部, 准教授 (10432907)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 保健師 / 精神障害者 / 生活支援 / 対応困難事例 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、市町村保健師が地域で生活する精神障害者への生活支援、実施すべきケアマネジメント内容や必要なスキルを評価する指標の開発を目的とすることである。とりわけパーソナリティ障害やアルコール・薬物依存などの問題を抱える精神障害者は、民間による保健福祉サービスの利用が難しく、市町村保健師による支援が不可欠であるため、それらの対象に焦点を当てている。 本年度は、(1)市町村の精神障害者支援の現状調査、(2)実践事例のインタビュー、(3)支援内容・項目の抽出・整理を行った。 (1)の市町村の精神障害者支援の現状調査においては、市町村の約4割で、精神障害者の相談・支援を担当している専門職は保健師のみであったことから、保健師の力量向上がよりよい相談・支援につながること、また、多くの市町村が対応困難事例に対する支援に苦慮している現状があり、特に対応困難事例への支援技術を明確化することの重要性が明確になった。 (2)の実践事例のインタビューは、対応困難事例に対し、良好な支援を行った経験について、市町村の保健師等を対象に実施した。 (3)では、(2)のインタビューデータをもとに、対応困難事例の支援内容・項目の抽出・整理を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の計画は、(1)市町村保健師が精神障害者の生活支援に関わっている現状把握を行うための調査、(2)市町村保健師が対応困難事例に対し良好な支援を行った経験のインタビュー調査実施、(3) 対応困難事例の支援内容・項目の抽出・整理、であった。 現在、(1)の現状調査、(2)のインタビュー調査を終え、(3)の支援内容・項目の抽出・整理が進んでいるところであり、おおむね今年度の計画通りに進んでいる。また、市町村保健師の精神障害者支援の現状調査をもとに、市町村保健師への技術支援に関する自治体への研修会や調査も実施した。 研究の達成度は、市町村保健師による対応困難事例への支援の良好実践事例が少なく、ケアマネジメント指標の項目は十分とはいえないため、引き続き検討を行っていく。しかし、この調査結果をもとに、市町村保健師支援の必要性に関する県保健所等への研修などが実施できているため、今後も研究成果の公表と活用を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策) 今後は、引き続き、(1)研究成果の公表を行うこと、(2)自治体などへの研修及び共同での調査を行う中で、意見を聴取し、支援内容・項目を精錬することを計画している。 (使用計画) 成果発表をしていく必要があることから、海外での学会参加に必要な費用の積算、加えて英語論文投稿に必要な費用を積算した。 また、現在までの成果をもとにして、市町村保健師に協力を得て、研修会・調査を行うための費用を積算した。
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Causes of Carryover |
市町村保健師が生活支援のケアマネジメントを行う精神障害者の背景により、必要とされるスキルが大きく異なるため、対応困難な事例に調査対象を絞った。しかし、対応困難な事例の支援には、多くの市町村で課題となっているものの、良好に支援できた事例が少なく、インタビュー調査に必要な使用額に差が生じたこと、調査結果に加えて指標の精錬のための費用が必要となったこと、研究結果の公表のための予算が次年度必要となることにより、次年度の使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
(1)研究結果の公表:インタビュー調査結果の公表を予定している (2)指標精錬のためのデータ収集:現在、市町村保健師からの良好支援事例が少ないため、現在までの研究成果を活用した研修会・調査を行い、その中で項目の精錬のための意見聴取を予定しており、その費用を計上している。
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