2013 Fiscal Year Research-status Report
在宅難病患者と家族のソーシャル・キャピタルと生活満足度に関する実証的研究
Project/Area Number |
24593448
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Research Institution | Niigata College of Nursing |
Principal Investigator |
平澤 則子 新潟県立看護大学, 看護学部, 教授 (60300092)
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Keywords | 難病患者 / 難病家族 / ソーシャルキャピタル / 生活満足度 |
Research Abstract |
本研究は,社会的要因であるソーシャル・キャピタルに着目し,個人レベルのソーシャル・キャピタルを豊かにすることは,自分らしく生きることを望む患者と家族の対処方略を促し,生活満足度を高めるという作業仮説に基づく実証的研究である.平成25年度は、(1) 個人レベルのソーシャル・キャピタルのパネル調査の1年次調査(2)集団レベルのソーシャル・キャピタルの実態調査のための関係者への聞き取りである.今年度実施した内容と結果は,以下の通りである. 1.個人レベルのソーシャル・キャピタルのパネル調査(1年次) A地域の在宅難病患者と家族を対象に協力依頼を行い,研究参加は60組であった.方法は,郵送による自記式質問調査であった.患者は男性33名と女性27名,家族は男性26名と女性34名であった.患者では生活満足度,QOL得点において性差はみられず,ソーシャル・キャピタルの地域への愛着において男性が女性よりも有意に高かった.家族では生活満足度,主観的幸福感,ソーシャル・キャピタルの各項目において性差はみられなかった.家族発病後に退職した者は3割であり,女性の6割は暮らし向きが悪くなったと回答していた.現在,ソーシャル・キャピタルの関連要因について詳細に分析中である. 2.集団レベルのソーシャル・キャピタルの実態調査に向けた関係者への聞き取り A地域のパーキンソン病友の会等3団体の理事に聞き取りを行い,調査票を修正して保健医療福祉サービスの活用実態についても詳細に把握することになった.難病患者家族にとりソーシャル・キャピタルの概念はなじみが薄く,生活満足度やQOLに関連する要因として理解しにくいことが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
個人レベルのソーシャル・キャピタルのパネル調査の参加者が少なく,調査協力の依頼方法を見直す必要がある.また,難病患者会の聞き取りで明らかになったように,ソーシャル・キャピタルの概念の理解を促す説明が不足していたことも参加者が伸びなかった要因と考えられる.患者会を対象とする集団レベルのソーシャル・キャピタルの実態調査においてはこれらの点に留意し,回収率を高めたい.
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Strategy for Future Research Activity |
個人レベルのソーシャル・キャピタルの測定について,引き続きパネル調査の参加者を募り,3年間の経年変化が分析できるようにする.また,量的調査では,ソーシャル・キャピタルが患者家族の生活満足度やQOLに及ぼす影響について十分に捉えきれないため,1年次調査参加者の60組を対象に質的調査の協力を依頼する.集団レベルのソーシャル・キャピタルについては,患者会の協力を得て量的・質的調査を実施する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
人口規模の大きい自治体の協力を得ることができず,パネル調査の協力者が計画よりも少なかったため謝礼・郵送代の支出が抑制された. 平成26年度は,パネル調査対象を拡大して新規協力者を増やす予定である. また,患者と家族のペアで協力を得ることができたため,量的調査に加えて質的調査も実施予定である.
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