2015 Fiscal Year Research-status Report
在宅難病患者と家族のソーシャル・キャピタルと生活満足度に関する実証的研究
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24593448
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Research Institution | Niigata College of Nursing |
Principal Investigator |
平澤 則子 新潟県立看護大学, 看護学部, 教授 (60300092)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 在宅難病患者 / ソーシャルキャピタル / 生活満足度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はソーシャル・キャピタルに着目し、個人レベルのソーシャル・キャピタルを豊かにすることは、患者と家族の対処方略を促し生活満足度を高めるという作業仮説に基づく実証的研究である。平成27年度は、個人レベルのソーシャル・キャピタルパネル調査の3年次調査を行った。分析対象は40事例である。藤澤らのソーシャルキャピタル6項目の合計点は経年変化がみられず、患者と家族においても差はみられなかった。患者生活満足度、QOLは日常生活動作と関連が見られ、難病患者QOL得点と生活満足度は弱い相関があった。家族においても、患者の日常生活自立度と生活満足度、主観的幸福感との関連が見られた。発病後の対処では、患者の8割以上が実施したのは「専門医受診を受診する」「生活を守る努力をする」「できることは自分で行う」「健康管理をする」の4つであり、「他の患者や家族の相談にのる」は1割と少なく、「付き合いを拡げる」「自分の望みを伝える」の対処をしている者は4割であった。家族においても「他の患者や他の家族の相談にのる」「付き合いを拡大する」といった対処をする者は2割と少なかった。また、「患者会に参加する」「近隣の支援がある」「友人の支援がある」者は1割以下であった。本研究において、難病患者とその家族のソーシャルキャピタルは同様の傾向を示し、生活満足度とQOlに関連する要素は患者の日常生活自立度であることが示唆されたが、ソーシャル・キャピタルと生活満足度の関連はみられなかった。作業仮説に基づき、退職や家族人数の変化などライフコース・データと生活満足度、QOLの関連について事例ごとに分析予定である。ソーシャル・キャピタルの醸成においては、難病患者とその家族が患者会や地域との交流を図っていくことも課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パネル調査の対象者は少ないが、ソーシャル・キャピタルと生活満足度、介護福祉サービス活用実態について経年的に把握ができている。量的研究を予定していたが対象事例の抜け落ちも多く、今後は事例研究として詳細な分析を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
パネル調査の抜け落ちが多い。ソーシャル・キャピタルが患者と家族の対処方略を促し生活満足度を高めるという作業仮説を質的に検証するため、パネル調査対象者にインタビュー調査を実施する。
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Causes of Carryover |
パネル調査対象者の脱落があり郵送費等の支出が減額したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
パネル調査については、郵送調査と面接調査を実施し詳細なデータ収集を行う。最終年度は保健師を対象にグループインタビューを行い、難病地域ケアにおけるソーシャル・キャピタルの醸成方法の活用可能性の検討を予定している。対象に介護支援専門員を加えることを検討する。
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