2014 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症患者の主体的回復を育む援助プログラムの構築
Project/Area Number |
24593475
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
水野 恵理子 山梨大学, 総合研究部, 教授 (40327979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 みすず 飯田女子短期大学, 看護学科, 教授 (00461872)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 主体的回復 / 地域精神看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、統合失調症患者が捉える病からの回復の意味と回復過程における精神保健医療従事者の位置づけを明らかにすることであった。1年目は、1.回復支援、社会参加等の文献検討と回復に向けた看護支援の考察を学会発表(香港)、2.海外・国内施設用の面接ガイドの作成、3.香港のクラブハウス、豪州のクラブハウス、シンガポールの精神科病院と地域保健センターの訪問と情報交換、4.東京都と長野県内の精神科病院と精神障害者支援施設の患者・通所者30名、職員22名への個別面接を行った。2年目は、1.台湾の精神保健リハビリテーション協会、就労支援施設、クラブハウス、グループホーム等の訪問と情報交換、2.個別面接調査の分析、3.精神科看護師が捉える回復の意味を学会発表(豪州)、4.長野県内の施設職員8名のフォーカス・グループ面接を行った。最終年度は、1.山梨県内精神科病院入院患者12名の個別面接、2.フォーカス・グループ面接の分析結果の学会発表(岩手)、3.入院患者の回復体験を発表(香港)、4.外来通院患者の回復体験を国際学術誌へ投稿・受理、5.当該研究の成果報告書の作成を行った。3年計画で行ってきたが、統合失調症を病む人々はより良く生きるための試行錯誤を繰り返し、社会における自分の立ち位置を意識しつつ主体性をもって生きていることが明らかになった。また彼らは、精神障害者であることの引け目やスティグマを感じながらも、真っ当に生きている姿を示していく責任があると語り、決して病に圧倒されているわけではなかった。そして彼らがもっている自覚と意思を支えることの重要性が示唆された。さらに、類似する文化や国民性をもつ国におけるスティグマの観点から統合失調症からの回復を探究することにより、わが国における精神障害者の回復の特性を一層明確にすることができると考え、これは今後の課題となった。
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Research Products
(5 results)