2014 Fiscal Year Research-status Report
人工股関節・膝関節患者の経年的QOL評価の集積と再置換予防に関する研究
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24593481
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤田 君支 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80315209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬渡 正明 佐賀大学, 医学部, 教授 (80202357)
牧本 清子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80262559)
眞壁 幸子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40436184)
田渕 康子 佐賀大学, 医学部, 教授 (90382431)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 人工股関節 / 人工膝関節 / QOL / EQ5D / 満足度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は下記の三つの調査を進めた。調査1.人工股関節全置換術(THA)患者を対象に、手術前から術後5年でのQOL及び抑うつ気分の変化と術後満足度と人工関節の不安を明らかにした。調査は2003年7月から2006年11月までにTHAを受けた1032名を術前対象者とした。調査にはEuroQOL-5D(EQ5D),Arthritis Impact Measurement Scale(AIMS)2を使用した.また,今回作成した術後生活に関して「痛みのない生活」「仕事ができる」など10項目について,満足度を調査した.さらに,術後の脱臼や人工関節の不安など3項目について回答を得た.術後調査は術前調査に有効回答した1004名を対象として,5年以内に手術を受けた100名,調査票未回収を除外して,668名を分析対象者とした.有効回答率は66.5%であった。EQ5D,AIMS2のいずれについても術前に比べ,術後に得点が有意に改善した(p<0.001)。術後満足度は「痛みのない生活」(M=2.33),「長く歩ける」(M=2.29)などで満足度得点が高く,「運動を楽しむ」(M=1.38)が最も低かった.術後不安については,「人工関節の耐久性」(M=1.61)が「脱臼の不安」(M=1.30)より平均値が高かった.THA後5年では術前に比べ,QOLや抑うつ気分が低く,術後満足度も概ね高かったが,人工股関節のため,様々な運動を楽しむことや人工関節の不安もあることが示された. 調査2.北海道でQOL調査を219名回収し終了した。九州のデータと比較検討した結果、西洋式の身体機能には有意差を示さなかったが、寒冷地の術後患者は九州に比べ、和式生活の困難度が低かった。生活環境の影響が示唆された。 調査3.人工膝関節患者の調査については、術後3年までの調査を継続中であり、約90名を回収できた。今後分析の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
縦断的な調査を行っているため、データ回収に時間を要すが、九州、関西、東北の共同研究者間で連携して、回収率を上げる方策を工夫している。今年度は昨年から引き続きの寒冷地区の調査回収を進めたが、共同研究者の馬渡、眞壁と共に打ち合わせを行い、スムーズに調査を実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
THA患者の調査は順調に縦断的調査を進行し、分析、論文作成が進んでいるが、TKA調査については、対象者が後期高齢者が多く、術後3年の調査では質問紙への回答が困難な者や認知症などで施設に入所し、継続調査ができない者もみられた。今後は現在までの回収状況で術前からの縦断調査の分析を進め、論文を作成する予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度に所属機関を異動したため、研究分担者を追加した研究を進めたが、予定よりQOL調査票の回収状況が遅れた。また、異動先は個人情報を含む大量の調査票の保管場所がなかったため、その保管場所の確保にも時間を要した。回収期間を延長して回収率を上げ解析及び再置換予防の検討を行うこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
回収期間を延長したデータを追加し、全データの解析を行うための解析ソフトの購入と成果発表を次年度行うこととし、未使用額はその経費に充てる計画である。
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Research Products
(8 results)