2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24593484
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
緒方 重光 鹿児島大学, 医学部, 教授 (40305173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下高原 理恵 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50404538)
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Keywords | 解剖学 / 看護学 / リハビリテーション / 看護形態学 / 嚥下 |
Research Abstract |
開口反射誘発法としてのK-point刺激法の形態学的・神経学的所見を踏まえて、効果的な間接的摂食・嚥下機能訓練法を確立することが研究目的である。今年度は剖出過程において、神経細枝を切らないようにするために、水に浸し神経を浮かせながら剖出を進めた。さらに神経と血管との関係を明らかにするために、摘出標本の動脈に、着色樹脂を注入した。標本の固定状態や血管壁の脆さによっては、着色ゼラチン溶液やラテックスゴムの方が良好な結果を得られた。この手法を冠状動脈の形態解析に援用したところ、良好な結果が得られたので、副次的な英論文としてまとめることができた。 今回の剖出所見では、全例に共通して舌神経の鼓索神経合流部-顎下神経節交通枝間の高さで4-6本の細枝が前下方に向かって出ていた。口峡枝に相当すると考えられるこれらの枝は上下間で網目状の交通を形成し、口蓋舌弓付近の粘膜、臼後隆起および最後臼歯舌側部の歯肉に分布していた。 従って、開口反射刺激点の粘膜を支配する感覚神経は、舌神経口峡枝であると同定した。つまり、K-point刺激による開口・嚥下運動は、正常システムが破綻して脳幹系システムの反射回路で行われる異常反射である。その詳細なメカニズムは、これまで説明されていないが、その一つの説明として、健常者では、K-point付近に一種の抑制がかかっていることが考えた。通常、咀嚼を行う時には、K-point付近には繰り返し機械的刺激が加わる。そこで、刺激のたびに開口が起こるのを防ぐための抑制機能が常に働いている。しかし、仮性球麻痺患者のように、延髄皮質路が損傷された場合ではこの抑制がとれてしまい、軽度の刺激でも開口反射が起こるという想定が可能である。従って、K-point刺激法は、開口抑制が機能しなくなっている点を利用していると推察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画案の通りに、研究機材を購入・使用して一定の成果がでている。その結果として分担研究者とともに英論文にまとめることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
解析・計測用コンピュータおよびソフトウェアを用いて、神経分布の形態計測を行い定量的な測定値を得る。さらに、神経分布および形態を視覚的、数値的に比較・分析を進め、論文として発表する。
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