2012 Fiscal Year Research-status Report
介護保険施設において実践されている口腔ケアに関する看護管理的取り組みの実態調査
Project/Area Number |
24593485
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Sapporo City University |
Principal Investigator |
村松 真澄 札幌市立大学, 看護学部, 准教授 (50452991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守屋 信吾 国立保健医療科学院, 生涯健康研究部, 上席主任研究官 (70344520)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 口腔ケア / 介護保険施設 / 看護管理 / 教育 / 歯科との連携 |
Research Abstract |
全国の介護保険施設の全施設13290施設のうち, 2947施設22%を無作為抽出し,無記名自記式質問用紙を郵送法により調査を実施したところ,回収は27.1%で,有効回答は25.9%であった. 口腔ケアは,ヘンダーソン(看護の基本となるもの)によって用いられる看護の質の指標の1つとなっているとの回答が80.4%であったこと,ケアの担い手である看護師,介護職の教育プログラムの実施状況は,24.2%,45.8%であった,看護チームが口腔ケアを行う前に本人や家族から許可を得ているが5割であったこと,口腔ケアの標準的看護手順があるというところが5割に満たなかったこと,歯科との連携があると答えたものが9割を超していたが,入居者の定期的な口腔内評価を実施しているとの回答は,4割に満たなかったこと,また,歯科との連携の指標となる口腔機能維持管理体制加算(31単位/月)を算定している39.2%,口腔機能維持管理(112単位/月)を算定している15.3%であった. 以上から,教育については,口腔ケアは容易に実施できるケアと考えられているために,教育プログラムがないと考えられた.歯科との連携については,一般的な歯科治療ニーズがあるときに,歯科医師の協力を得ていると考えられた.看護業務については,多職種間で共通の標準的な口腔衛生評価の方法がないことにより,口腔における健康上の問題点を早期にスクリーニングすることが遅れること,標準的な口腔ケアプロトコール手順がないことにより,効果的な口腔ケアが実施されにくいことなどが考えられた.したがって標準化された口腔アセスメントと口腔ケア手順の作成が望まれる. 全国の介護保健施設において実践されている口腔ケアに関する看護管理的取り組みの実態調査を実施した.口腔ケアに関する看護管理の状況が明らかになり,教育や業務,歯科との連携に関する提案の必要性が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本調査は,全国の介護保険施設は,二次医療圏データベースシステムから,株式会社ウェルネスの使用許諾を得て,全国の介護保険施設13290(介護老人福祉施設5890,介護老人保健施設3474,介護療養型医療施設3926施設から,SPSSの無作為抽出機能を使用して22%を無作為抽出し,介護保険施設2947(介護老人福祉施設1312,介護老人保健施設770,介護療養型医療施設865)施設の看護管理者とした.無記名自記式質問用紙郵送法で平成24年10月1日から10月19日に実施した.調査項目は,施設の設置地域と種類,回答者の職位と年齢,口腔機能維持管理体制加算および口腔機能維持管理加算算定の有無,A:口腔ケアの担当者および教育体制,B:口腔カンジダ症状・肺炎の発症率,C:口腔ケアの臨床業務についてであった.AからCについては「Revised IDAS 3STUDY Nursing Management of Oral Hygiene」を用いて評価を行った.これは,フランス公衆衛生大学院から,使用許可とRevised許可を得て,原文を翻訳し,さらに口腔ケアの専門家により検討を加えた評価項目である.分析は,IBM SPSS statistics 21を用いて調査項目の記述統計を実施した.倫理的配慮は,所属大学の倫理審査委員会の承認を得た後に実施した.報告書は,50ページの冊子にて4月8日に納品された.報告書の納品が4月になったが予定通り実施できた.
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Strategy for Future Research Activity |
全国の介護保健施設において実践されている口腔ケアに関する看護管理的取り組みの実態調査を実施した.口腔ケアに関する看護管理の状況が明らかになり,教育や業務、歯科との連携に関する提案の必要性が示された. さらに本調査を分析すると介護保険施設3施設間を比較するために有効な分析対象は25.9%であった.介護老人福祉施設 27.7%,介護老人保健施設33.9%,介護療養型医療施設14.3%であった.歯科が併設されている施設は,4.2%,9.3%,14.6%,看護師の新人教育の実施状況は,19.6%,28.7%,43.8%,口腔ケアの看護手順がある施設は29.8%,52.9%,71.5%で介護療養型医療施設が有意(p<0.001)に高かった.口腔機能維持管理体制加算の算定の実施は、44.4%,46.8%,25.0%、口腔機能維持管理加算の算定の実施は,15.3%,22.4%,10.3%,入居時の口腔衛生評価の実施率は,32.7%,43.6%,26.6%で介護老人保健施設が有意(p<0.001)に高かった. このことから,介護老人福祉施設に焦点を当てた取り組みが必要と考え,平成25年度の計画を立案した.介入は,看護管理者への口腔ケアマネジメントの説明をすることとし,介入前後での看護師の教育や業務,歯科との連携の状況を比較する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の調査を基にターゲットを介護老人福祉施設に絞る. 札幌市内の介護老人福祉施設56か所を対象に口腔機能維持加算の算定していない施設を抽出する.その施設の看護管理者に向けての口腔ケアマネジメント集合教育を実施する.介入前後に看護師に口腔ケアに関する質問紙調査(24年度の看護管理者への質問紙より質問項目を抜粋して作成する.)を実施する. 研究方法1)対象地域と対象者:札幌市内の56か所介護老人福祉施設を対象に郵送で口腔機能維持加算の算定していない施設の看護管理者に向けての口腔ケアマネジメント集合教育を実施することを文書で説明し,研究の参加に同意した施設の看護管理者(看護管理者が委任したもの)が集合教育に参加する. 2)調査方法:介入研究 口腔ケアマネジメント集合教育の実施 3)対象地域と対象施設:札幌市近郊施設24施設4)調査内容:期間:平成25年7-9月と平成26年度の同時期の2回 評価方法:看護師に質問紙調査,調査項目:基本属性,職位,口腔機能維持体制加算・口腔機能維持加算算定の有無,口腔ケアの教育体制,臨床業務について(24年度の看護管理者への質問紙より質問項目を抜粋して作成する.)5)データの分析:介入前後の看護管理者に質問紙調査を実施し,比較する. 6)介入:看護管理者への口腔ケアマネジメントについての説明.(教育,業務,歯科との連携) フランス公衆衛生大学院看護研究科との研究成果の交流,および,フランスの高齢者施設や病院での看護師が実施している口腔ケアについての視察を予定している. 24年度執行額で未使用額があるのは,報告書の納品が4月8日になったこと,先方のフランス公衆衛生大学院から,成果交流と高齢者施設の口腔ケア視察にきたため渡仏が本年に延期になったことがあげられる.
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Research Products
(1 results)