2014 Fiscal Year Annual Research Report
認知症高齢者本人の意向を尊重した意思決定を行うための支援に関する研究
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24593502
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
杉原 百合子 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (90555179)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 認知症 / 家族介護者 / 意思決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度は引き続き早期認知症患者及び家族へのインタビューを行った。対象となった家族6名の平均年齢は75.0歳、被介護者の平均年齢75.5歳、MMSE平均23.2点であった。認知症専門外来を受診する時期の語りで、前回行った家族の調査(2006~2007年に実施、対象は比較的中等度の認知症高齢者の家族10名)といくつかの異なる点がみられた。 ①前回の調査は家族が変化に気づいてから受診までの期間が、5年以上が多かったが、今回は1年程度が3名、2~3年程度が2名と、かなり短くなっていた。 ②前回は10例とも本人に認知症専門外来の受診と言わず受診していたが、今回はすべてのケースで説明し受診していた。 ③上記①②とも関連するが、前回は本人に自覚がなく、それが受診を阻んでいたケースが約半数みられたが、今回は自覚がある場合が多く、受診を強く拒否する人が少なかった。 一般の人の認知症に関する知識の向上により、家族がより早い段階で気づけたこと、専門外来の認知度の上昇、認知症という名称に変化されたこと等が影響していると思われる。 さらに今年度は、介護支援専門員500名を対象に、意思決定支援についての調査を追加して実施した。有効回答は214名(回収率42.8%)で、サービス導入時の困難経験として、本人に理解してもらえない(38.8%)、本人と家族の意見が異なる(36.9%)が挙げられた。意見が異なる場合の対処として、家族の意見優先(51.4%)、本人の意見優先(25.7%)、一致するまで話し合う(20.6%)であった。誰の意見を優先するかについて、基礎資格(介護職と看護職)、就業年数(5年未満、以上)による差はなかった。このように、本人の意思が必ずしも尊重されていると言い難い状況であり、決定に関わる援助者も苦悩を抱えていた。関係者全てにとってより良い決定にむけた支援の必要性が示唆された。
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