2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24593522
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamagata Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
小澤 芳子 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (60320769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日高 紀久江 筑波大学, 医学医療系, 教授 (00361353)
中村 裕美 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 講師 (20444937)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 若年認知症 / 若年認知症を親に持つ子ども |
Research Abstract |
<成果>1.認知症者を親に持つ子どもの認知症者への心情 【背景】若年認知症者を親に持つ子どもたちは、就職や結婚、子どもの発達環境や生育、遺伝など配偶者とは異なるさまざまな問題を抱えていることが多い。 本研究は、若年認知症者を親に持つ子どもが認知症である親に対する情動(喜怒哀楽)について検討することを目的とした。 【研究方法】対象者は、 若年認知症と診断された親を持つ子ども5名。データは一人90分程度の半構造的にインタビューを行い、診断時の思いや診断後の親への関わり、親に対する思い等について聞いた。 【分析方法】逐語録を作成、質的帰納法を用いて分析した。 【倫理的配慮】大学の倫理委員会の承諾および事前に研究の趣旨、プライバシーの保護、途中でもやめれることなどを説明し、文書で同意を得た。【結果&考察】対象者の年齢は30歳代、女性が3名、男性2名であった。親の発病年齢は58.3歳であった。親【結果&結論】対象者の年齢は30歳代、女性が5名であった。親の発病年齢は58.3歳であった。親への心情につては、カテゴリとして【返礼・感謝】、【距離感】、【現実を認める辛さ】、【サポート】の4カテゴリと10のサブカテゴリが抽出できた。この結果から、若年認知症者を親に持つ子どもの心情は、これまで育ててくれた親への感謝や返礼がある一方で、疾患によるこれまでの親とは異なる言動をする親への関わり方、変わりゆく親の現実を認めたくないという心情の中で葛藤が生じていると考えられる。今後は、若年認知症者を親に持つ子どもに対するカウンセリングや思いを聴く場を提供するなどのサポートが必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究1.フォーカスグループインタビュー 若年認知症者を親に持つ子ども5名(20歳以上)を対象にフォーカスグループインタビューを実施した。結果、子どもの持つ問題としては、結婚、出産、新居の購入などのライフイベントへの影響、若年認知症である親の病気の受容、将来的な不安(今後の見通しや遺伝)等を体験していることが明らかになった。また、フォーカスグループインタビューにおいて若年認知症者を親に持つ子どもは親への関わり方や対応、親の病気への受容などへのサポート体制が脆弱であることが示唆された。このことから研究の到達目標である若年認知症者を親に持つ子どもの持つ諸問題の外観は示されたと考える。 研究2.訳年認知症者を親に持つ子どもへのインタビュー 若年認知症者を親に持つ子どもへの個別インタビューは、5名が終了した。インタビューの依頼を行ってもインタビューを承諾するには至らない場合が多い。理由としては考えられることは、①親の病気への受容ができずにいること、②子どもは働いている世代であり多忙であること、③元々の親子関係の複雑さ等が挙げられた。このことから、若年認知症者を親に持つ子どもへの個別インタビューはおおむね順調に進んでいるが、今後とも継続して個別インタビューの件数を増していくことが必要であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2.若年認知症者を親に持つ子どもへの個別インタビューの継続 24年度の到達度を踏まえて、個別インタビューを継続して行い若年認知症者を親に持つ子どもも諸問題について検討を重ねていく。平成25年度のインタビュー件数を10人を目標に実施する。その為には幅広い情宣活動を行い、各家族会への積極的な働きかけを行っていきたいと考える。 研究3.若年認知症者を親に持つ子どものセルフヘルプグループの運営および継続的評価 による効果の測定および支援システムの開発 これまでにインタビューを行ってきた若年認知症者を親に持つ子どもを対象にてセルフヘルプグループの集まりを継続的に運営し、参加者に安らぎの場を提供するとともに相互交流が図れるように支援する。また、このセルフヘルプグループを通して、子どもたちが若年認知症に関する知識の広がり、介護における問題解決能力、交流することでの人間的成長、現状への適応への促進を図る。測定項目は①認知症の理解度、②問題解決思考の側面、③人間的成長、④自分の中で変化したことなど定期的にインタビューもしくは感想文を記載してグループダイナミックスの評価を行う。開催頻度は月1回、時間は2時間から3時間、内容は対象者の了解を得て毎回録音し、逐語録を作成する。内容については質的帰納法を用いて分析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費200,000円:文房具、ICレコーダー等 旅費440,000円:神奈川、東京、埼玉、福島へのデータ収集、国内・海外での成果発表等 人件費・謝金150,000円:インタビュー協力者への謝金(@3000×20名)、データ入力 その他100,000:翻訳料他
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Research Products
(2 results)