2012 Fiscal Year Research-status Report
活動・休養・睡眠の調整が及ぼす脳血管障害後片麻痺者の血管機能悪化予防効果の検証
Project/Area Number |
24593523
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gunma Paz University |
Principal Investigator |
木村 朗 群馬パース大学, 保健科学部, 教授 (20367585)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 血管機能 / 片麻痺 / 睡眠 / 日周期リズム |
Research Abstract |
脳血管性片麻痺障害者のリハビリテーションにおいて麻痺の回復と並んで重要な課題として血管機能劣化の予防が求められる。ネックは、睡眠時の体動を考慮した包括的な連携ケアに役立つデータを得るための方法とデータが存在せず、活動・休養・睡眠への調整介入方法の開発に至らないことである。 そこで本研究は、片麻痺者の睡眠時の体動、日周期リズムの測定方法の確立に向け、老人保健施設で片麻痺者の自由行動下24時間連続血圧・心拍数(ABPM)とbaPWVなど血管硬度を測定した。 1.当初、体動測定に圧電方式のセンサーマットを用いたが、マット自体の凹凸が気になるという訴えがあり測定方法を見直した。磁気センサー体動計と圧電式センサーによる相関はr=0.95、入眠時EEG所見と体動感知時間がほぼ一致したことから、磁気センサーデータから妥当性のある睡眠時体動量を得た。 2.血管硬度および関連する生理学的データの日内変動を観察し分析した。脳血管障害後片麻痺者9名の活動・休養・睡眠データと血管機能の分析から、ABPMが示すサーカディアンリズムは、およそ総計3時間30分間の体動が見られない「無動状態」が存在した場合に確認できることが明らかとなった。baPWVは午前12時から1時にかけて日中のピークを示し、15時には日中の最小値を示す傾向にあった。日内変動と関連する「無動状態」時間のカットオフ値を、ケースを増やし解析を進める必要がある。 3.糖尿病がある場合のbaPWVは、午前9時で2352(cm/秒)、夕食後1時間(午後7時頃)時点でピークと思われる2548(cm/秒)を示すケースが見られた。日周期リズムの変容もしくは位相の変位が生じている可能性が示唆された。 本研究の成果として、片麻痺者の血管機能の日周期リズムの顕在化に必要な睡眠時無動時間の発見の知見を利用して、日周期リズムへの介入効果を検証することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
睡眠-活動-休養パターンの測定に必要なデバイスが定まり、おおむね分析できている。 パイロット研究で体動測定に圧電方式のセンサーマットを用いたが、マット自体の凹凸が気になるという訴えがあり、測定方法を見直した。この見直しを丁寧に行ったため、目標被験者10名に対し9名のデータを得た、という結果になった。 また、夜間のbaPWV測定は承諾可能な被験者が少ないため、このルーチンの代替方法として、24時間のABPM用腕時計大のウェアラブル装置を導入し、測定する方法を併用することにした。以上の2点において、研究参加する被験者の確保が可能となり、おおむね睡眠時体動データを取得することができている。 磁場の変動を利用した体動センサーが開発され、これを従来の圧電式センサーと比較してみたところ、拘束性が少なく、直接身体接触をしない方式にもかかわらず、眠りの程度(EEGで検証)も含め一定の再現性を確かめた。実験手順を簡素化かつ頑健なデータ測定が可能になった。 おおむね実験のルーチンが確立したことから、介入研究への準備が整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
参加者を新たに募集し、8週間程度の活動・休養・睡眠の時間配分・リズムに介入を行い、血管機能パラメーター(脈波伝搬速度、静脈還流機能の変化)を記録し、分析する。同パラメーターに橈骨動脈脈波増大係数(radial Augementation Index:rAI)を加える。rAIはbaPWVと同様に血管硬度指標として実装性があることから測定項目に組み入れることを予定している。また、睡眠度を測定する調査紙も用いて、主観的な睡眠度と日常活動度の関係を、アウトカムの項目として追加する。 介入条件として、あらたに参加者の活動・休養・睡眠の時間配分とリズムを把握し、ランダムに2群に分ける。 クロスオーバー研究デザインを設定して、介入条件に睡眠時間6時間以上、休養2時間以下、活動(3Mets強度以上)1時間以上を仮設定する(参加者および家族の同意を得るため、現場での介護状況に従う)。 これらを満たすように指導する介入群と満たさない対照群を設定したい。更に、休養および睡眠時間のリズムが毎日2時間以内に収まった群と、収まらなかった不規則な群に分け、サブ分析を行いたい。 初回対照群には9週目から16週目まで介入群と同様の指導を行う。介入においては、睡眠―休養リズムへの介入方法として、日周期リズムに合わせた覚醒の促しをICT機器で行う事に加え、日中の活動において中等度強度の身体活動出現時間への意識づけをウェアラブル光波脈電計のカラーシグナリングを用いて行い、これらの介入の実装性および影響について中間的評価を行いたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
入眠時の体動の減少情報を磁気センサーおよびEEGによって補うために、簡易EEG計を購入する予定を当初計画に加える。
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