2014 Fiscal Year Annual Research Report
ピアサポーター参加型の行動制限最小化のためのモデル開発と効果の検証
Project/Area Number |
24593530
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
三宅 美智 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 社会精神保健研究部, 流動研究員 (20580814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西池 絵衣子 天理医療大学, その他部局等, 助教 (90559527) [Withdrawn]
末安 民生 天理医療大学, その他部局等, 教授 (70276872)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 精神科 / 隔離身体拘束 / 行動制限最小化委員会 / 当事者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では過去の入院で隔離・身体拘束を体験し、地域で生活している精神障害者が当事者として、「行動制限最小化委員会」「病棟での隔離・身体拘束振り返りグループ」に参加することを実施した。それにより隔離・身体拘束に関わった患者や当事者、医療スタッフへの影響を明らかにし、臨床で導入可能なモデルを開発することを目的とした。 行動制限最小化委員会、病棟での隔離・身体拘束振り返りグループは、協力の得られた1施設で当事者3名と実施し、ともに全6回開催した。病棟での隔離・身体拘束振り返りグループにはのべ13名の入院患者が参加した。 行動制限最小化委員会に当事者が参加した成果として、医療従事者の意識変化が挙げられた。医療従事者が現場で隔離・身体拘束の解除に向けて気持ちを維持することは、患者の病状が重症かつ長期であるほど困難になる。行動制限最小化委員会への当事者の参加は、そのような状況に置かれていた医療者従事者が、再度解除に向けて検討する方向へ働きかけることにつながった。 病棟での隔離・身体拘束を振り返るためのグループを実施した成果として、当事者が穏やかに中立的な立場で経験を語ることによって、入院患者の感情の高ぶりが軽減したことが挙げられる。グループのなかで患者からの不満や納得のいかない内容が語られる場面があっても、その表現は冷静であった。それは当事者が入院患者をピアサポートすることにより、その相互性のなかで安心して発言できる雰囲気を作り出していたからだと考える。それにより看護師に普段は知ることができない患者の一面に気づく機会を提供することにつながった。 本研究では隔離・身体拘束数の減少までには至らなかったが、行動制限最小化に当事者が参加するモデルが実施可能であること、またそこに発揮できる役割があることが分かった。今後はこのモデルを精錬し、より多くの病院で実施することが課題である。
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