2013 Fiscal Year Research-status Report
脳波と光イメージング脳機能測定による看護における回想法の検証
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24593544
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
徳重 あつ子 摂南大学, 看護学部, 准教授 (30555644)
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Keywords | 回想法 / 認知症 / NIRS / 看護 |
Research Abstract |
本研究では,認知症を改善させる看護ケアとしての回想法の検証を目的とする.平成24年度は,プレ実験として健康成人を対象とした研究を実施し,平成25年度は施設入居者への実験に進むはずであったが,研究が遅れている.データ分析途中である. 【研究方法】平成24年度実施分 1)対象者 研究の同意を得られた健康成人20名.対象者は公募とし,研究の主旨,目的,研究方法を掲示し,応募した人を対象とした.2)測定項目と測定用具 (1)基礎データ:年齢、利き腕 (2)NIRSデータ(前頭葉のヘモグロビン値):前頭葉の血流変化を近赤外光にて測定した.(3)覚醒度データ:記憶を想起する会話の前後に,日本語版UWIST気分チェックリストにより,気分を構成する「緊張覚醒(tense arousal:TA)」と「エネルギー覚醒(energetic arousal:EA)」の測定を行った.3)測定方法 研究対象者が子どもの頃に流行し,記憶を想起させると考えられる画像を集めた回想画像と,風景等の抽象的な画像を集めた対照画像を用意し,全員に両方の画像を見てもらった.画像は1枚が15秒で,回想画像と対照画像それぞれ40枚ずつの設定とし,回想画像と対照画像の順番は対象者毎にランダムとし,間に5分間の休憩を入れた.その後,回想画像を用いて,研究者と10分間の会話を行った. 【研究結果】平成25年度はNIRSデータの分析を主に行った. 16名の右利きの被験者のうち,40枚の画像のうち一番懐かしいと感じた画像について回答のあった12名について,刺激となった画像の前後の画像との比較を行った.左右大脳半球の酸素ヘモグロビン値は増加していたが,統計的な有意差は認められなかった.対照画像との比較,他の測定部位との比較は,現在行っているところである.(3)主観データ:被験者20名のうち15名が,対照画像よりも回想画像の方が覚醒度が上がると回答した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度はプレ実験を行い,新しい研究に進む予定であった.しかし,実際には新設の大学であるため,初めて行う授業科目の準備や看護学実習についての実習先との調整等があり,研究の時間を十分に確保することが困難であった.また,私的な理由となるが,同居家族の介護,入院,看取りがあり,研究時間として確保しやすい夕方以降の時間や,土日の時間の大半を奪われる状況であったことが,要因として大きかったと考えている.時間の確保の問題については,実習に関する調整は残ってはいるものの,私的な問題については解決できたため,2014年度は研究のための時間を確保することができる予定である.データの分析が終わらなければ,次のステップに進むことができないため,現在最優先で行っているところである. 2014年度は,残している基礎研究(プレ実験)を終え,次のステップの研究を実施できるようにしていく予定である.しかし,最終的な対象者としての認知症高齢者に対する研究は平成26年度実施は困難であるため,研究期間の延長を考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,24年度,25年度に実施できなかったプレ実験を継続し,必要に応じて追実験も行う.その後,研究1を実施する計画とする.平成26年度のプレ実験では,脳波にて回想法を実施した際の大脳活性をとらえることができるか検証する.研究1では健康高齢者を対象として,健康成人との反応の違い等の検証を行う計画である.また,施設入居高齢者を対象とした研究2の準備も併せて行う. 【プレ実験】1)被験者 研究の同意を得られた健康成人20 名(男性10 名,女性10 名).被験者は公募とし,研究主旨,研究目的,研究方法を掲示し,応募した人を対象とする.2)測定項目と測定用具 ①基礎データ:年齢,利き腕,基礎疾患の情報を得る.②脳波データ:国際10/20法に基づく32点のデータを得る.測定にはNeXus(キッセイコムテック社製)を用いる予定である.③覚醒度データ:日本語版UWIST気分チェックリストにより,気分を構成する「緊張覚醒(tense arousal: TA)」及び「エネルギー覚醒(energetic arousal: EA)」の測定を行う.3)実験手順 研究対象者が子どもの頃に流行し,記憶を想起させると考えられる画像を集めた回想画像と,風景等の抽象的な画像を集めた対照画像を用意し,全員に両方の画像を見てもらう.画像は1枚が15秒で,対照画像それぞれ40枚ずつの設定とし,回想画像と対照画像の順番は対象者毎にランダムとし,間に5分間の休憩を入れる.その後,回想画像をを用いて,研究者と10分間の会話を行う. 【研究1】 対象者を健康高齢者(男性10 名,女性10 名)とする.測定項目を脳波データとNIRSデータ(前頭葉のヘモグロビン値)とする.実験手順はプレ実験と同様であるが,回想法の媒体を変更する(「対話で始めるパソコン回想法」:エヌ・プログレス社).
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は,データ分析が遅れている等の理由から,実験を実施することができなかった.平成26年度を実施できるよう計画している. 健康高齢者と回想を行うためのノートPC,データ分析を行うためのPCと統計ソフトウェア,データ保存媒体,被験者謝礼60名分等が必要である.また,学会発表も計画している.
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