2012 Fiscal Year Research-status Report
子どもの生活習慣と体温調節機能の発達に関する研究ー熱中症予防の観点からの提案ー
Project/Area Number |
24600004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
田中 英登 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (60163557)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / 台湾 |
Research Abstract |
本研究は発育期の子どもの熱中症予防を目的に、どのような生活習慣を持つことが熱中症予防につながるのか、また熱帯化している日本の状況から、亜熱帯地域の熱中症予防に関する情報を集め、日本の今後の対策に生かすことを目指して実施した。24年度は、次の研究調査を実施した。 1. 生活習慣と発汗機能の調査:男子大学生を対象に、1年を通じての熱ストレス時の発汗量の変化を測定した。その結果、運動習慣群(8名)および非運動習慣群(9名)において、発汗量は1年を通じて運動習慣群>非運動習慣群であり、特に7月から9月にかけての変化が非運動群において小さいことが示された。また非運動習慣群において、冷房の嗜好度が強く発汗機能の変化(季節順化)に影響し、運動習慣がなく冷房に頼った生活をしている場合、暑さに対する耐性能力が低く、熱中症になりやすいことが示された。 2. 日本国内及び台湾における夏季外遊び調査:国内(神奈川県、沖縄県)及び台湾(台北市)の小学生、中学生を対象に夏の外遊びあるいはスポーツ活動に関するアンケート調査を実施した。この調査の主なねらいは、従来から気温の高い地域において、習慣的に子供たちはどのような活動を行っているのかを明らかにすることにある。現状の分析結果では、台湾及び沖縄地域においては、夏季のスポーツ活動は最も気温の高い昼の時間帯を避ける傾向がみられている。今後はさらに調査範囲を広げ、どのような時間帯で活動を行うべきかなどを示せるようにと考えている。 3. 水分補給温度に関する研究:水分の補給は熱中症の予防に不可欠の要因であり、どのような温度の水分を補給することが最適なのかを明らかにするため、24年度は補給水温と飲水量との関係を調査した。0℃、10度、22℃の補給水を飲水させた時、補給飲水量は、10℃>0℃>22℃であり、特に22℃の補給時には脱水が進行する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度の計画では、夏季の生活に関わる調査として、国内アンケート調査、生活暴露温度調査を計画し、国内アンケートは実施でき、さらには台湾の一部地域の調査も実施できた、しかし生活暴露調査に関してはその準備段階にとどまった。また、実験室内の調査においては、発汗機能の測定実験は予定通り終わることができた。以上より、24年度の自己評価としては、ほぼ予定通りの進展と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度の進行状況をふまえ、次年度以降の研究については以下のように考えている。 1. 夏季の生活に関わる調査:アンケート調査については、さらに国内外の調査地域数を増やす。生活暴露温度調査に関しては、小学生から大学生までの調査を実施し、どのような温度環境の中で生活しているのかを明らかにする。また、この調査に関しては可能であれば、台湾においても実施したいと考えている。 2. 室内実験調査:24年度は大学生で実施した発汗機能の測定を小学生を対象に実施する。測定目標数は運動習慣群、非運動習慣群各5名以上とする。 以上の調査及び実験測定から、夏季の子どもの熱中症予防に関する、生活・運動指針を羅谷作成し、提案する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度において若干の残額げ示された。これは、主に消耗品の購入が予定より少なかったことによるものである。 購入物品(おもに消耗品類) 300000円 国内旅費(関東、関西、沖縄地区) 250000円 国外旅費(中国、台湾、フィリピン)250000円 謝金(実験補助・実験被験者) 200000円
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