2012 Fiscal Year Research-status Report
小一プロブレム克服のための実行機能育成プログラム:就学前から小学校までの縦断研究
Project/Area Number |
24600009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
松村 京子 兵庫教育大学, その他の研究科, 教授 (40173877)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 小1プロブレム / 実行機能 / 就学前児 / STARTプログラム / 介入研究 |
Research Abstract |
日本の教育現場では現在,「小1プロブレム」と呼ばれる現象が,大きな問題となっている。教員の話を聞かない,指示通りに行動しない,授業中に立ち歩くなどの行動である。このような問題行動は実行機能(Executive Function)の未熟さに起因する, と捉えることができる。 筆者は,特に注意集中とセルフコントロールを強調し,実行機能と社会情報処理能力の育成を意図したSTART(Social Thinking & Academic Readiness Training)プログラムを開発した((株)医学映像教育センター)。そこで,本研究ではSTARTプログラムの中の実行機能に関連する内容を就学前児に実施し,その効果を小学校低学年まで縦断的に検討することを目的とする。 平成24年度は、実行機能に関するSTARTプログラムの6レッスンを保護者の同意が得られた幼稚園・保育所の就学前児200名を対象に実施し,その効果を検討した。実施園を2グループに分けて時期をずらせて,グループ1(実施群)は11~12月,グループ2(対照群)は1~2月にレッスンを行った。両グループともに10月末に第1回目のアセスメント,12月末に第2回目を実施した。 子どもの行動の直接評価,指導者による子どもの行動評価,指導者の指示に対する子どもの応答性,STARTプログラムについての指導者へのインタビューから検討した結果,就学前STARTプログラムが子どもの実行機能の向上に有効であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の目的通り実施することができた。 兵庫県内の公立幼稚園6園,幼児園3園,保育所2園の5歳児207名(男児90名,女児117名)が本研究に参加した。A教育委員会の協力のもとで,各園において保護者への説明を行い,保護者の同意を得て実施した。 STARTプログラムの実施に先だって,指導者の研修を行った。また,チュートリアルDVDも活用し,プログラムを実施した。アセスメントも,指導者による子どもの行動評価,子どもに対する直接的評価,ビデオによる教師の指示に対する子どもの反応性を分析することによって行った。
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Strategy for Future Research Activity |
1.就学前児:平成24年度と同様にアセスメントとプログラムを実施する。 2.小学1年生(平成24年度の就学前児):3学期の2月末にアセスメントを実施する。アセスメントに国語と算数の学力テストを加え,実行機能と学力との関係を調べる。 3.実行機能のアセスメントが諸外国でも使用されているものなので,子どもと実行機能の能力の国際比較を検討する。 4.結果をまとめて,論文を作成し,国際誌または国内誌へ投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.物品費:パソコンの購入(使用していたパソコンが壊れたため) 2.人件費・謝金:測定補助,データ整理・分析補助 3.旅費:測定,資料収集,成果発表
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Research Products
(1 results)