2013 Fiscal Year Research-status Report
子どもの疲労の神経基盤解明による治療法の開発-慢性疲労とPC・携帯電話依存の関連
Project/Area Number |
24600014
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
川谷 淳子 熊本大学, 医学部附属病院, 診療助手 (30423669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 敬 独立行政法人理化学研究所, その他部局等, 研究員 (60464616)
上土井 貴子 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (90363522)
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Keywords | 小児型慢性疲労症候群 / ・インターネット依存症 / 機能的磁気共鳴画像法 / 自律神経機能 |
Research Abstract |
小児型慢性疲労症候群(Childhood Chronic Fatigue Syndrome: CCFS)と携帯電話・インターネット依存症という同じ「疲労」を主訴とする子どもにおいて、両疾患における報酬の知覚に伴う脳賦活度および賦活パターンの相違を機能的磁気共鳴画像法(functional MRI: fMRI)を用いて検証し、さらに、疲労の客観的評価法として有用な脈波を用いた自律神経機能評価をしたうえで、これらの知見に基づく治療法の開発を目的とした。今年度までに、10~15歳の健常児および小児慢性疲労症候群患児29名( 健常児13名 男子/女子=4/9、小児型慢性疲労症候群罹患児 16名 男子/女子=7/9)を対象に、報酬の知覚に伴う賦活度を計測するためのfMRI実験を行った。報酬課題として、金銭的報酬課題を用いた。また、fMRI実験前後の安静閉眼時の脈波測定から加速度脈波a-a間隔の周波数解析を行い、小児慢性疲労症候群患児は健常児に比べ交感神経活動および副交感神経活動いずれも著しく低下していることがわかった。課題前後では、Visual Analogue Scale等で主観的な疲労感や自律神経活動の指標となる唾液アミラーゼの測定も行った。今後fMRI実験を積み重ね、脳神経活動と自律神経活動の関連性を検討し、意欲・報酬系機能に基づく治療法の検討を行う基盤が構築できた。今後は、fMRIの結果と他の評価系の関連性なども確認しながら必要に応じて追加実験を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、10~15歳の健常児および小児慢性疲労症候群患児29名を対象に、報酬の知覚に伴う賦活度を計測するためのfMRI実験を行った。報酬課題として、金銭的報酬課題を用いた。また、fMRI実験前後の安静閉眼時の脈波測定から加速度脈波a-a間隔の周波数解析を行い、小児慢性疲労症候群患児は健常児に比べ交感神経活動および副交感神経活動いずれも著しく低下していることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
fMRI実験を積み重ね、脳神経活動と自律神経活動の関連性を検討し、今後、意欲・報酬系機能に基づく治療法の検討を行う。本研究により、CCFSの意欲・報酬系の神経基盤や、自律神経機能の異常反応による疲労の遷延化等について新たな知見が得られれば、医療関係者に新たな治療・介入方法を提案できるだけでなく、講演活動やパンフレット作成などを通して、行政や教育関係者、保護者など子どもを取り巻くすべての国民に対し、疲労のメカニズムや対処法を発信する事が可能となる。 研究成果発信は、個人が特定されない形で倫理面に充分な注意を払い行う。さらに、本申請研究による科学的根拠のある成果を、早まって一般化されることのないよう充分な注意を払う。これらのことを前提とし、本申請研究成果を国際的比較可能な形で国際誌および国際(国内)学会で発表し、有識者による専門的な評価を受ける。そのうえで、社会・国民に対して講演などを通じた成果報告活動につなげる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験は概ね予定通り進行しているが、被験者が予定より若干名少なく、未使用額が生じた。実験実施を集中して行ったため、学会発表など旅費等の使用を次年度に繰り越すこととなった。 MRI関連消耗品およびデータ統合解析用ソフトなどの実験関連費用を必要とする。本研究を進めるにあたり、円滑な研究打ち合わせ(実験を含む)が不可欠であり、それに関連する旅費が必要となる。本研究に関する専門職員(放射線技師など)、各種検査補助のための専門的知識、技術を有する技術補佐員の人件費、研究協力者(被験者)に対する謝金が必要となる。以上、必要に応じ適切に使用する計画である。
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Research Products
(4 results)