2012 Fiscal Year Research-status Report
救急医療のためのポータブルX線機能イメージングシステム(診る聴診器)の開発
Project/Area Number |
24601007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田中 利恵 金沢大学, 保健学系, 助教 (40361985)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肺機能イメージング |
Research Abstract |
24年度は症例データの取得,サポートデータ(他の臨床データ)のデータベース構築,取得した動画像を対象にした画像解析法の開発とソフトウエア化を主に行った. まず,金沢大学附属病院の救急・外来・入院患者を対象に,動画撮影の可能なポータブルX線撮影装置を用いて撮影を行った.呼吸過程を5~10秒間撮影し,合計30~75枚のX線動画像を得た.2013年3月末までに,23症例の手術前/手術後,合計46画像を取得した. X線動画像の撮影と併せて,ゴールドスタンダード(CT,核医学検査の結果)の収集を行い,データベースを構築した.また,胸部X線動画像を対象に,フレーム間のX線ムラ補正,肺野認識,フレーム間位置合わせ,を行った後,フレーム間差分を行い,差分値の大きさに応じたカラースケールでオリジナル画像上に重ね合わせて表示した.肺機能に異常がないことが確認された症例を対象に,正常パターンの確立を試みた.開発したソフトウエアを用いて,フレーム間のX線ムラ補正,肺野認識,フレーム間位置合わせ,を行った後,フレーム間差分を行い,差分値の大きさに応じたカラースケールでオリジナル画像上に重ね合わせて表示した(=肺換気/血流マップの作成).これらの成果を,ヨーロッパ放射線学会(ECR)にて発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下に24年度の計画を示す.これらはほぼ予定通りに進展している. H24年度:データベース構築と画像解析プログラムの最適化・改良 (1) X線動画像の撮影とゴールドスタンダード(CT,核医学検査の結果)の収集を行う,(2) 初期データベースを対象にこれまで開発した画像解析法の最適化と改良を行う,(3) 機能解析に最低限必要な画質と線量の検証と,撮影パラメータの最適化を行う 症例データの収集が滞った期間は,機能解析に最低限必要な画質と線量の解明や撮影パラメータの最適化など,イメージング関連技術の研究開発に時間を充てた.さらに,これまでに開発した撮影法および画像解析法の最適化・改良を行った.これらの修正・改良点は,すべて自作ソフトウエアに反映させた.実用化の要となる症例データの収集および臨床評価は,臨床医の協力を得て行った.現在,解析結果をゴールドスタンダートの所見と比較し,本法の診断能の評価を進めている.正常な肺血流マップからの逸脱を根拠に,肺塞栓などの血流障害を検出できる可能性が示された.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,初期データベースを対象に,腹部領域を対象とした画像解析法を新たに開発する.症例データの収集と画像解析プログラムの開発等を並行して行うことで,研究を効率的に推進する.すなわち,典型的症例を短期間に数症例ずつ収集し,開発用の初期データベースを構築する.画像解析関連技術の研究開発は,この初期データベースを対象に行う.本データベース構築後は,その画像データを対象に解析を行い,ゴールドスタンダートとの比較により本法の異常検出能を明らかにする.当初の計画にはなかったが,画像処理により骨陰影除去を追加で行い,解析精度の向上を試みる. H25年度:腹部領域を対象とした画像解析法の開発,臨床評価 (1) 腹部領域を対象とした出血部位検出のための画像解析法を開発する,(2) ゴールドスタンダードと本法の結果を比較し,本法の診断能と適用範囲の解明する,(3) 画像処理による骨陰影除去を行い,解析精度の向上を試みる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度は,ハイスペックコンピュータを追加購入し,開発した画像解析プログラムをインストールし,コンピュータ支援診断システム試作用コンピュータとして使用する.試作したコンピュータとモバイルインジェクトプリンタをワゴン(可搬型,2段式)に搭載し,モバイル性の高いシステムを構築する.さらに,タブレット型コンピュータとモバイル通信機器を組み合わせて,「診る聴診器」の試作機を開発する.
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