2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24601009
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宮地 利明 金沢大学, 保健学系, 教授 (80324086)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間瀬 光人 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60238920)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 医療・福祉 / 脳・神経 / 脳神経疾患 / 磁気共鳴画像(MRI) / バイオメカニクス / 特発性正常圧水頭症 / 水分子揺動 / 脳血流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,頭蓋内環境解析法を統合して開発した揺動MRIの新規解析手法の臨床応用を,特発性正常圧水頭症(iNPH)を中心に取り組んだ. iNPHは心周期における見かけの拡散係数(ADC)の変化(ΔADC)が増加する.ΔADCは脳血流(入力要素)を駆動力とする脳内水分子の揺動される度合い(出力要素)であるために,脳血流が影響すると同時に伝達要素である脳自体の力学的特性も関係することが予想される.そこでΔADC検査時に同時に得られる拡散情報によって血流の影響を除去する手法を使用し,iNPHにおいてどの要素がどのように関与するのかを検討した. 健常ボランティア,無症候性脳室拡大または脳萎縮例,iNPH症例において,b値を0,500,1000 s/mm2に設定したECG-triggered single-shot diffusion EPIで脳を撮像した.次に0と500s/mm2並びに0と1000s/mm2のb値画像から,各心時相のADC画像を作成した.続いて前頭葉白質において,0と500s/mm2のb値のADC画像から心周期のADC最大値(最大ADC(0-500))と,0と1000s/mm2のb値のΔADC(ΔADC(0-1000))を測定した.そしてΔADC(0-1000)を血流情報が主体の最大ADC(0-500)で除して血流の影響を自己補正した. その結果,iNPHの血流自己補正後のΔADCは,他の2群と比較して有意に大きかった.一方,最大ADC(0-500)は,全群間において有意な差が認められなかった. これはiNPHにおいて水分子揺動の出力要素であるΔADCが増加する原因が,入力である血流ではなく伝達要素である脳自体の力学的特性が変化するためであることを示しており,iNPHの病態を解明する上で意義深いものである.
|