2013 Fiscal Year Research-status Report
重粒子線がん治療計画を想定した大型の被写体撮影が可能な重粒子線CTの検討
Project/Area Number |
24601015
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
村石 浩 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (00365181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 秀剛 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (80381424)
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Keywords | 重粒子線治療 / 治療計画 / 断層撮影 / 電子密度 |
Research Abstract |
本研究では、重粒子線がん治療計画の精度向上を目的として、被写体内の電子密度分布を短時間で直接導出可能な「増感紙-EMCCDカメラによる重粒子線CT」の検討を行っている。今回の基盤研究(C)による研究では、従来のφ11cm被写体撮影に対して、臨床応用(とりわけ頭部がん治療計画)を想定したφ20cmの大型被写体撮影実現にむけたシステムを構築中である。初年度(H24年度)においては、放射線医学総合研究所がん治療用重粒子線加速器(HIMAC)での加速器実験を想定し、φ20cm重粒子線一様照射ビーム形成のためのシミュレーション実験を遂行し、最適な撮影条件の導出を行った。今年度(H25年度)においては、厚さ20cmクラスの重粒子線CT用分解能評価ファントムの検討、及び製作を行った。ここで、我々は、当初、空間分解能、及び密度分解能の評価に限定したファントム製作を予定していたが、ドイツのハイデルベルク大学のグループが同様の実験(ただし、検出器はプラットパネル)を遂行し、先に報告が行われた(Telsemeyer et al., Phys. Med. Biol. 57, 7957, 2012)。そこで、この現状を踏まえ、我々が製作する大型ファントムの一部を修正するため、頭部がん治療に特化したファントム製作の可能性について調査を行った。本調査に基づき、現在、模擬腫瘍入りの重粒子線CT用評価ファントムを実際に製作中である(発注済)。また、大型被写体撮影のためのダイナミックレンジシフタの検討も同時に遂行し、現在製作中である(発注済)。尚、製作されたシステムを用いて、平成26年度HIMAC共同利用研究「増感紙-EMCCDカメラを用いた重粒子線CTによる大型被写体の撮影(代表:村石 浩)(採択)」において実験を遂行予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の最終目標は、我々が提案する「増感紙-CCDカメラによる重粒子線CT」を用いて、頭部放射線がん治療計画を想定した厚さ20cmの大型被写体のCT撮影が可能であるかについて実験的評価を遂行することである。最終年度(H26年度)に予定している実際の重粒子線加速器を用いた実験に向け、システム構築がほぼ終了した。一方で、ドイツのハイデルベルク大学のグループが我々の手法(Muraishi et al. IEEE Tran. Nucl. Sci., 56, 2714,2009)に興味を示し同様の研究を推進している(Telsemeyer et al., Phys. Med. Biol. 57, 7957, 2012)。我々は、彼らの最近の報告を踏まえ、当初製作予定であった大型ファントムの一部を変更することで、より臨床応用に近い想定での加速器実験をH26年度に遂行予定である。以上より、本研究はおおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに構築された新しいシステム、及び製作された大型ファントム(頭部がん模擬腫瘍入)を用いて、平成26年度HIMAC共同利用研究「増感紙-EMCCDカメラを用いた重粒子線CTによる大型被写体の撮影(代表:村石 浩)(採択)」で獲得したマシーンタイムにより、重粒子線CT撮影実験を実際に遂行予定である(前期:2014.7.3、後期:申請中)。これらの内容を、今後、日本医学物理学会、アジアオセアニア医学物理学会、アメリカ応用物理学会(IEEE NSS-MIC Meeting)などで報告を行っていき、更に、欧文誌への学術論文投稿も同時に行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
まず、H25年度に製作完了予定であった大型分解能評価ファントムについては、競合するドイツのハイデルベルク大学のグループによる最近の研究成果を踏まえ、より臨床に特化した頭部がん模擬腫瘍を含む部分について一部変更が生じたため製作が遅れたが、既に発注済であり、近日中に納品予定である。 また、重粒子線エネルギー変調&一様照射野形成システムについては、レンジシフタを構成する三角錐型の大型アクリル板(側面:20cm×115cm、底面の三角形の鋭角2度)を製作中に、鋭角部分の反りの問題が予想に反して発生したため、急遽、設計を若干変更することとなり、更に金属板による補強を加えることで対処を行った。その後、順調に製作が進んでおり、5月に納品予定である。 1.大型分解能評価ファントム(1台×100万円)(北里大学) 2.重粒子線エネルギー変調&一様照射野形成システム(1台×70万円)(北里大学)
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