2012 Fiscal Year Research-status Report
社会政策の変容に関する研究-欧州4カ国の長期失業者に対する政策から
Project/Area Number |
24602003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokusho University |
Principal Investigator |
山本 麻由美 北翔大学, 人間福祉学部, 准教授 (80433457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 周子 佐賀大学, 経済学部, 准教授 (00433673)
小澤 裕香 鳥羽商船高等専門学校, その他部局等, 助教 (00582032)
高田 一夫 一橋大学, 社会(科)学研究科, 教授 (30114953)
佐々木 貴雄 東京福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (30433634)
稗田 健志 大阪市立大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (30582598)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 長期失業者 / 雇用政策 / 国際比較(独・仏・蘭・瑞) / 就労支援 |
Research Abstract |
本年度は長期失業者への政策動向を明らかにすることを目的として研究調査活動を行い、2回の研究会の中でその成果を共有した。 第1回研究会(2012.8.10)では、先行研究の検討として文献研究の成果を報告し、本研究が対象とする国における政策及び制度の異同について議論した。この中でオランダは寛大な障害年金を活用しておりヨーロッパの3か国と異なっている点が指摘され、今後の政策動向を注視することを確認した。スウェーデン、ドイツ、フランスではいずれも個別の支援計画を立てるものの、その間を支える給付と雇用の関連性が異なっており、この点を調査や文献研究を通して把握することを確認した。日本でも失業者への給付の種類が増えているが、機能はまだぜい弱である。さらにパートタイム就労が失業予備軍を吸収している点についてヨーロッパとの違いに留意する必要があるなど、比較を通して論点が導出された。 その後、スウェーデン(2月)、ドイツ(3月)、フランス(3月)での調査が実施された。オランダは調査の調整がつかず、次年度に再度調整をすることとなった。 第2回研究会(2013.3.28)では、海外調査も含め各人の研究内容を報告した。特にスウェーデンでは病気で長期療養をしていた人の再就職支援も雇用局の役割になっていることがわかり、今後の研究では長期失業者の属性にも注目することを確認した。また、家計データの分析及び比較から、失業者向けの給付制度の中に、就職活動を積極的に行わない人への制裁的条件があっても、オランダを除いて実態として非就業者の割合が目立って減ってはおらず、失業者が労働市場に押しやられているわけではないことが推測される結果となった。これは、長期失業者が常態化していることを受け入れて政策が展開されているという、本研究の仮説に対して肯定的な結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長期失業者への政策的および制度的対応について、文献研究及び海外調査を研究分担者及び協力者と同時並行して実施しており、目的を共有しながら研究を進めることができている。 オランダの現地調査は本年度実現しなかったが、ほかの海外調査の結果を受けて、より調査の目的や対象を明確になり、現在、準備を進めている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は当初の予定通り進めていく。まず、研究会を本年度と同様に2回、中間報告と結果報告の位置づけにして開催する。その間に海外調査を4か国で実施する。必要に応じて日本での調査も検討する。 次年度は、本年度に導出された論点を踏まえ、雇用政策と生活保障の接合関係を明らかにするべく研究活動を行う。そこから、長期失業者を解消すべきものではなく、一定程度存在するものとしてどのような支援体制が構築されているのかを明らかにし、本研究の仮説を詰めていく。 また、研究の成果を社会政策学会にて継続的に発表し、他の研究者とも意見交換をしながら、研究を深めていくことを予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究会を東京で2回開催することに伴い、旅費を執行する。また、4か国での海外調査に際して、旅費を含めた執行を予定している。文献研究のための資料の購入も行う。
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Research Products
(10 results)