2013 Fiscal Year Research-status Report
スポーツ・プログラムがもたらす社会的排除の抑制効果に関する研究
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24602004
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
小林 勉 中央大学, 総合政策学部, 准教授 (20334873)
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Keywords | スポーツ / スポーツ援助 / 開発 / 社会的包摂 |
Research Abstract |
スポーツ援助に対する研究者側からの問題提起を出発点としながら、貧困削減や社会的包摂に向けたスポーツの展開をめぐり、途上国の現地側と求めるものと先進諸国側が求めるものとの差異を焦点化することで、「開発を後押しするためのスポーツ(Sport for Development)」プログラムをめぐり開発を押し進める側、それを受け入れる側にはどのような問題が伏在するのかを浮き彫りにすることができた。近年のスポーツ援助をめぐる国際的な動向と課題について明らかしたこの研究成果は、スポーツ社会学研究に「原著論文」として発表され、当該領域における日本の研究水準を一歩押し進めることができた。 また、「スポーツによる地域活性化」をテーマに、日本の国内事例についても検討を加え、スポーツを軸とした社会的包摂と排除の原理が作動する現場の問題を、種々の政策文書とフィールドワークから解題した。各々のスポーツ組織には、組織の歴史に刻印される「インスティテューショナル・メモリー」があり、そうした「インスティテューショナル・メモリー」を度外視したまま、スポーツを通じて地域住民をまとめようとする社会的包摂の試みには一定の限界があることを指摘した。現在の日本政府による「スポーツを通じた地域活性化」政策の問題点について明らかにした本研究成果は、中央大学出版部から学術図書として出版され、当該研究領域における新たな視点の創出に大きく寄与するものとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種々のネットワークを通じて、「開発を後押しするためのスポーツ(Sport for Development)」プログラムに関する情報を順調に蓄積することができ、加えて、南太平洋や国内で展開される同種の活動についても現地でのフィールドワークを通じて情報を収集することができた。また、それらのデータをもとにその検討結果を原著論文や学術図書として出版し、広く研究成果を発信をすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
「開発を後押しするためのスポーツ(Sport for Development)」プログラムが積極的に展開される途上国において、スポーツを通じて社会的包摂がいかに展開されているのかについて情報を収集し、現在の当該活動の世界的潮流を明らかにした上で、スポーツを通じた社会的包摂の動向とその活用可能性についてまとめる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ケニアへの渡航を予定していたが、首都ナイロビの大規模なテロ事件をはじめケニア国内で治安が不安定となったため、安全上の観点から渡航を取りやめたことによる。 ケニア国内の情勢により再度渡航を試みる予定であるが、その情勢如何によっては他国での現地調査に切り替える可能性もある。ただ、その調査地については既にリストアップが終了しており、このことにより当初の研究目的が大きく変更されることはない。すなわち、仮に調査地が変更されたとしても、本研究を遂行する上において何の支障もきたすことなく、十分な研究データを得られる予定である。
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Research Products
(4 results)