2014 Fiscal Year Research-status Report
スポーツ・プログラムがもたらす社会的排除の抑制効果に関する研究
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24602004
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
小林 勉 中央大学, 総合政策学部, 教授 (20334873)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スポーツ援助 / 開発 / 社会的包摂 / スポーツ |
Outline of Annual Research Achievements |
ソーシャル・キャピタルの形成や活力ある市民社会の構築に向け、スポーツが有効なのではないかという見方が次第に強くなってきた経緯について、とりわけUKの事例をもとに検討し、そこでの議論から、人々の志向性をスポーツ・メンバー/ノンメンバーの観点から比較すると、スポーツ・メンバーの社会全体に対するポジティブ志向性が浮き彫りとなることを明らかにした。 また、2000年の「国連ミレニアム宣言」の採択、その開発目標をまとめた「ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals)」の設定に伴い沸き上がってきた「開発と平和のためのスポーツ(Sport for Development and Peace)」の発展経緯を整理し、そうしたスポーツへの視角とミレニアム開発目標の関係性及び2005年の「スポーツ・体育の国際年(The International Year for Sport and Physical Education)」がもたらしたインパクトについて明らかにした。 これらの研究成果については、スポーツ科学のオピニオン誌として長い歴史をもつ『体育の科学』での特集「スポーツによる地域開発」において発表されたほか、現代スポーツに関する専門雑誌として高い知名度を誇る『現代スポーツ評論』での特集「スポーツを通した国際貢献のいま」においても掲載され、スポーツを通じた社会的包摂の動向とその活用可能性について、関係者や関係機関に広く発信することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
度重なる治安悪化により、ケニアでのフィールド調査はできなかったものの、スポーツを通じた社会的包摂の動向とその活用可能性について論考を発表していくことで、社会に広く発信することができた。また東京都の自治体職員を対象にした「政策スクール」において、2020東京オリンピック・パラリンピックを契機とした地域開発について検討を重ねることができたなど、本研究の成果の一部が、日本の基礎自治体というコンテクストの上において、社会的包摂という観点から実際の政策現場の方々にフィードバックすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ポスト2015年開発枠組みについての議論が活発化するなか、1980年代から90年代前半における「構造調整レジーム」、その後1990年代半ばから2000年代後半にかけての「貧困削減レジーム」、2010年代以降の貧困削減レジームの変容と拡散という、援助レジームの変遷を視野に置きながら、そうしたレジームの変動とスポーツの関係について考察を深めていく予定である。MDGsの流れを踏まえた上で2015年以降、より広い目標として持続可能な開発目標SDGsに取り組みことが合意された現在、そうしたSDGsとスポーツを通じた社会的包摂の取り組みの動向について焦点化しながら、スポーツ・プログラムがもたらす社会的排除の抑制効果について研究を展開する予定である。
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Causes of Carryover |
当初、ケニアへの渡航を予定していたが、テロ行為が頻発するなど度重なる治安の悪化により、渡航延期を余儀なくされた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
対象フィールドをケニアからアジアやオセアニアなどの第三国に変更しつつ、研究を展開していく予定である。
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Research Products
(2 results)