2014 Fiscal Year Research-status Report
限界集落における地域住民のエンパワメント評価と社会的排除に関する研究
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24602006
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
渡辺 裕一 武蔵野大学, 人間科学部, 准教授 (70412921)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 社会的排除 / 地域住民 / エンパワメント / 限界集落 / ソーシャルワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度においては、平成20年度・平成22年度・平成24年度に実施した繰り返し横断調査のデータ分析や発表、平成26年度調査の実施に取り組んだ。 繰り返し横断調査の分析では、限界集落における主観的な地域からの排除感(「地域の会合に参加しにくい」「自分の意見が地域に受け入れられていない」)と地域住民のパワーの関連の分析から、地域住民のパワーが低い場合に主観的な地域からの排除感が高まることが明らかになった(GSA2014にて発表)また、経済的な暮らし向きと地域住民のパワーの関連に関する分析では、経済的な暮らし向きの低さが地域住民のパワーの低さと関連していることが明らかになった(SWSD2014にて発表)。平成24年度に行った限界集落の行政担当者へのインタビュー調査の分析では、テキストマイニングにより、(1)地域活性化への取り組みと住民の閉鎖性のジレンマ、(2)地域の問題解決に向けた仁斎の確保・育成、(3)人口減少による地域の変化への対応、(4)町外転出者の帰村再定住環境の整備、という課題が明らかになった(武蔵野大学人間科学研究所年報第4号にて発表)。 平成26年度調査は、3月5日~9日に実施した。平成24年度に実施した調査票の内容に「社会的孤立」に関する項目を追加した。調査は、20歳以上の地域住民すべてを対象に実施した。住宅地図に記載されている全戸に訪問して、20歳以上の同居者数を確認したうえで調査票の配布・回収を行った。208件を配布し、196件の有効回答を得た。有効回答率は、94.2%であった。 平成27年度では、平成26年度調査の分析に加え、平成20年度からの調査データとの関連に関する分析を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成20年度から隔年で実施している限界集落での調査を予定通り実施するとともに、毎年の学会発表及び論文執筆による成果発表を継続して行うことができている。平成27年度は、本研究課題の最終年度に当たる。文献研究や得られたデータの分析を継続して行うとともに、全体の総括と今後の課題を検討していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度には、これまでの横断調査の繰り返しによる4回の調査データの分析から明らかになったことについて、APASWE2015、IAGG2015、GSA2015、日本社会福祉学会等での発表に取り組むとともに、論文及び報告書の執筆に取り組みたい。これらとは別に、これまで調査を実施してきた地域へのデータの報告及び地域の問題解決に向けた地域住民のエンパワメントに取り組んでいきたい。
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Causes of Carryover |
平成26年度調査の実施が平成27年3月であり、手続きの関係で、調査実施にかかる人件費や旅費等の精算が平成27年度になったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に入り、平成26年度(平成27年3月)に実施した調査にかかる経費の精算を速やかに実施する。
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