2013 Fiscal Year Research-status Report
被災者の記憶に残る地域の伝統的生活文化の認識と再生・継承に関する研究
Project/Area Number |
24603002
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
池邊 このみ 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (50620366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
草川 功 聖路加国際大学, 看護学部, 教授 (20241052)
安原 喜秀 東海大学, 人間環境研究科, 客員教授 (50056082)
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Keywords | 被災地 / 生活文化 / 風土・景観 / 郷土風習 / 居心地 / 定住 / 保育・教育環境 / 子育て環境 |
Research Abstract |
25年度は、住民ヒアリング調査と博物館や集落ごとに設置されているコミニティセンターの保管されている資料等により、郷土風習や生活文化等、生活暦等の把握を行った。また、昨年度、当該年度を通じて把握した各種のデータをGISデータにプロットし、多様なレイヤーから考察分析が可能な形式にした。また、民話等も収集することができ、基礎的なデータ収集のための調査は、8割終了した。これにより、地域のもつ地形や風土、歴史的な変遷と、地形や景観構造との関係についての考察が可能になった。また、当初は地形模型を作成の予定であったが、26年以降の分析に活用可能な3Dによる地形表示を行うこととした。これにより、3Dで表した地形上に、GISでプロットした各種の関連文化財群を把握することが可能になった。 また、小児科医の目からみた幼児の保育環境、居住環境としての分析にあたっては、共同研究者間の検討により、今後の被災地における定住人口の確保という課題にこたえることができるような内容とすることとした。 具体的には、幼児、小児、小学生、中学生、高校生という生育過程において、必要とする医療や保育、教育の環境とは何かの検討。また、今後の定住人口の確保という意味ふで、居心地や地域のアイデンティティや、その場所に住むことの誇りの醸成等を、どう形成していくべきかについて、検討を行った。 居心地という点においては、いわゆる地形、風土、気候、歴史、資源等の基礎的条件のほかに、1300年続いてきた地域における集落独自の祭り等のコミニティを支える各種の事象等を住み心地、人間関係、子供の育成環境という視点からの検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年は、現地ヒアリング調査と、その結果の複数レイヤーによるビジュアルデータ化と、当初の目的にあった小児科医からみた、子供ための環境のあり方や生活文化の継承、また、居心地学的視点からみた、検討、考察の視点を明確にするという、両面の課題に取り組むことができた。後半の2点は、データ等による検証は26年度の検討になるが、デザイン学というこの科研の領域に対する考察という意味でもオリジナリティが高く、かつ総合的的で被災地の今後のあり方への提言にもつなげる成果となりえる目処がついた。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は、ランドスケープ関連の学会への英語論文の投稿を予定している。現在のところ5編程度の投稿を予定している。また、以下の2つの検証作業を予定している。保育、教育、医療の連携を含めた子育てをしたいと思える地域システムとその空間のあり方についての検討、および、地域の持続性を維持するための居心地を構成するハードおよびソフトのファクターの洗い出し。 ただし、現地では実際の復興計画の推進が行われおり、地元地方自治体との調整等が必要とされることも予想される。 その場合には、25年度までの成果を踏まえて、フィールドとなる陸前高田市と類似する対象地をモデルに検証作業を実施する可能性もある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初は、25年度、模型製作や論文用の各種、記録のデータベース化のための人件費を想定していたが、模型は、ビジュアルソフトやGISで対応するなどの変更を行った。 また、人件費については、学生の卒論、修士論文レベルでの研究として実行したため、ヒアリングのまとめなどは、学生も自身の研究として行い、人件費としての執行はしなかった。 また、被災地の高台移転等の関係から25年度までに資料収集、ヒアリングの調査等を極力実施済みにする必要性、また、当該科研費としての共同研究の視点のうち、小児科医師および居心地学を踏まえた、地域デザインに関する論点を明確にしてからの論文発表を行うため、その検討に時間を要した。 26年度は、昨年までに取得した民話等の古い記録のデータべース化等を含む、論文作成、報告書作成の過程で人件費・必要に応じては、諸謝金を活用する予定である。 また、発表予定の5編の論文は、四川農業大学にて口頭発表を行う予定であるので、論文投稿に係る費用や、発表に係る費用、ネイティブチェックに必要とする費用は26年度に使用する予定である。
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