2014 Fiscal Year Research-status Report
被災者の記憶に残る地域の伝統的生活文化の認識と再生・継承に関する研究
Project/Area Number |
24603002
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
池邊 このみ 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (50620366)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
草川 功 聖路加国際大学, 看護学部, 教授 (20241052)
安原 喜秀 東海大学, 人間環境研究科, 客員教授 (50056082)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 年中行事 / 生活空間 / 生活文化 / 子供の成育空間 / 祭礼 / 祭り組 / 神社 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、被災地陸前高田市の住民ヒアリングの最終年度として、1.過去2年間に把握した年中行事について、具体の内容について使用していた材料や行っていた場所、参加者など含む各種の情報を12か月すべてにわたってのデータベースとして完成させた。特に地域固有の植物などを用いた行事や、庭や集落の広い空間などでおこなっていたものについては、被災地のもともともっていた空間の特性を把握するのに有効な情報として詳細に把握した。また、本年は陸前高田市の集落内でも一番大きいとされる竹駒神社の12年に一度の大祭にあたる年で、祭礼が実施されたため、祭りにおける各集落の祭り組毎の役割分担や、被災前と被災後の祭礼の回遊ルートの比較を行い、被災前に実施されていた祭りの空間利用状況と、被災後の空間利用状況とを比較し、その差違について詳細に比較検討を行った。 これらについては、被災地の生活文化の継承に関する研究論文としてまとめ、中国の四川省成都で実施された第15回日中韓ランドスケープ専門家会議において、英文のポスター発表と3本の論文発表を行った。 また、被災後の各種の教育施設等の建設などがはじまったこともあり、子供を主体として空間利用について小児科医の立場からの調査を詳細に実施して、被災前の空間と、今後の復興における子供の心身の健康を育む環境としての空間のあり方などについても、調査検討を行った。 当初は、最終年度として住民とともに子供達への継承を目的とした陸前高田市内の生活文化に関する小冊子としてとりまとめ、地域での発表を予定していたが、被災地の復興が遅れていることから住民の希望などもあり、研究期間を延長し、27年度に実施することとした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
被災地の復興が当初予定より遅れていることから、住民の高台移転などの進捗が遅れているため、住民内にはやや苛立ちなどがあり、年中行事や祭礼等を次世代に継承するという思いがまだ実感としてつかめず、生活再建がされてからという思いが大きく、最終年度に実施予定であった住民とともに作成する成果のとりまとめの冊子作成とその発表などについて、住民から翌年度以降の実施希望がだされたため。 また、本年度は、12年に一度の祭礼が復興後はじめての大きな祭礼として実施されたことから、調査協力をしてもらっている伝統文化関係の住民が祭礼に忙しく時間がとりにくかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
当該研究は、災者の記憶に残る地域の伝統的生活文化の認識と再生・継承に関する研究であるが、伝統的生活文化の認識までは、到達したものの、被災前の地域の生活空間と高台移転後の居住空間の変化が大きすぎ、再生・継承に関する方策が立てにくい状況となっている。 しかしながら陸前高田市では神社が村社として機能しているため、被災時に避難場所およびその後の一次的な非難地となった神社とその氏子の居住区域の被災前、被災後を空間比較して、神社を中心とした集落をコミニティ単位としてとらえ、再生・継承の方策を検討する。 また、具体の継承ツールを次年度作成し、地域住民とともに、継承の具体方策として検討する。
|
Causes of Carryover |
復興計画の遅れや被災地住民の生活再建の関係で最終年度に実施予定であった再生・継承に係る方策検討や、再生・継承ツールとして作成予定であった次世代向けの陸前高田の伝統的生活文化(小冊子)の作成と被災地での具体策検討・説明が遅れたため
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、現地での調査のまとめや説明会作成に対する旅費および伝統的生活文化冊子作成の費用(アルバイト、謝金、印刷費)等、および論文投稿関係費用への使用を予定している。
|