2012 Fiscal Year Research-status Report
循環型メディア共同体の形成を支援する文化プログラムと技術基盤の統合的デザイン
Project/Area Number |
24603006
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水越 伸 東京大学, 大学院情報学環, 教授 (60219623)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 雅子 札幌大谷大学, 芸術学部, 講師 (20431976)
田中 克明 一橋大学, 情報基盤センター, 助教 (80376657)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | メディア共同体 / メディア論 / 情報デザイン / 市民メディア / メディア・リテラシー / 実践 / 国際研究者交流 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
平成24年度は「地域メディア実践」として、あらたに「コミかるた(コミュニティ・カルタの略)」という文化プログラムと技術基盤をデザインし、東京都荒川区、文京区、千代田区、足立区、中央区、福島県いわき市などにおいて実施した。これはデジカメやケータイで撮影した写真1枚に、俳句のような短いメッセージを添えてオンライン上にアップロードし、学校の教室、地域のお祭り、公共的なイベントなどさまざまな局面で一般の人々が物語や感情の表現・発信と鑑賞・受容を循環的におこなうための、新しいメディアである。オンライン上で楽しむことができるとともに、紙のカルタにして地域共同体で遊びながら学び、記憶や語りを共有することもできる。研究代表者らが過去に実施した「あいうえお画文」「メディア・コンテ」「フォト川柳」などより広範囲の人々、すなわちこの種のことに無関心、あるいはメディア・リテラシーの乏しい老若男女に利用可能なかたちにデザインした。 「コミかるた」は、東京ケーブルネットワーク(住民参加型番組)、文京区アカデミー推進課(生涯学習活動)、文京区コミュニティバス「B-ぐる」(バス車内ディスプレイでの「コミかるた」の上映)、中央区文化・生涯学習課(生涯学習活動)などが次々とスノーボール式にその意義や魅力を理解してくれ、積極的に協力してくれた結果、当初の予定よりかなり早くに本格的な実践段階に入ることができた。また「コミかるた」が、「あいうえお画文」「メディア・コンテ」などと連動しながら展開していったことも記しておく。 この結果、後述のように内外の視察や聞き取り調査は不十分であるものの、「コミかるた」の地域を越えた進展が、もう一つの柱である「メディア共同体デザイン」の実現可能性を別の角度から高める結果をもたらしてもいる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)「地域メディア実践」については「コミかるた」がすでに実現、実践されるなど予想以上に進み、少なくとも国内実践については当初予定の平成25年度の内容を先取りするかたちとなった。 これに伴い、「コミかるた」の概要をまとめた論文、発表などは順調にに公開することができた。 (2)上記に注力した結果、「メディア共同体デザイン」の前提となる内外の視察や聞き取り調査はやや遅れた。また年度末セミナーなども開催することができなかった。 しかし上記のような東京23区内を中心にスノーボール式で連携が進み、研究代表者のもとに滞在した国際研究員(フィンランド・アールト大学カリハンス・コモネン氏、デンマーク・オールボ大学クラウス・オステガード氏)らとの交流、研究代表者が関わるリーディング大学院「グローバル・クリエイティブ・リーダー育成プログラム(Social ICT GCL)」による東日本大震災被災地からの要請もあったため、次年度以降の比較研究の現実可能性は増している。 以上のように、予想以上に進んだところと進まなかったところがある。しかし全般的にはおおむね順調だということができる。
|
Strategy for Future Research Activity |
おおむね予定どおりに進めるが、以下の諸点において若干の推進方策の修正がある。 (1)「地域メディア実践」については、すでに「コミかるた」が実現したので、当初計画よりさらに進め、たとえばGIS(地理情報システム)情報などを組み込みかたちでの技術基盤のバージョンアップをはかる。 海外実践についてはヘルシンキ(フィンランド)など北欧諸国での実現可能性を中心に、当初考えた台北、ロサンゼルスなどについてもさらに検討を加える。 「コミかるた」を単体であつかうのではなく、過去に研究代表者らが開発した「あいうえお画文」「メディア・コンテ」「フォト川柳」などを連動させながら文化プログラムと技術基盤を展開する。 (2)「メディア共同体デザイン」については、内外での視察や聞き取り調査を進め、「地域メディア実践」と結びつけつつデジタル・メディアの実現を図る。一方、紙メディアについては本研究の目的である技術基盤構築との整合性が十分にとりにくい可能性があるため、この科研プロジェクトからははずし、よりボランタリーなかたちで進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)「地域メディア実践」について ・「コミかるた」その他の技術基盤のバージョンアップをはかる、おもに技術的費用。 ・海外関係者、機関との連絡調整、実践のための旅費。 (2)「メディア共同体デザイン」について ・デジタル・メディアの構築のための、デザイン、および技術的費用。
|
Research Products
(11 results)