2014 Fiscal Year Research-status Report
循環型メディア共同体の形成を支援する文化プログラムと技術基盤の統合的デザイン
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24603006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水越 伸 東京大学, 大学院情報学環, 教授 (60219623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 雅子 愛知淑徳大学, メディアプロデュース学部, 准教授 (20431976)
田中 克明 一橋大学, 学内共同利用施設等, 助教 (80376657)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メディア論 / デジタル・ストーリーテリング / DST / 市民メディア / メディア・リテラシー / 空間情報 / 地域メディア実践 / オンライン・メディア実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、次のような活動をおこなった。 (1)「メディア共同体デザイン」として「System0706」という技術基盤を開発した。これを活用して各地に散逸するメディア表現活動の知と成果を共有し、可視化する実験的イベントをおこなった。なお、このイベントは本科研成果報告のセミナーも兼ねていた。 (2)「コミかるた」(写真とテキストを用いたDST)に続く2つ目の「地域メディア実践」のための技術基盤として「Telephonoscope」(音声を用いたDST)の開発に取り組み、ウェブベースの基本システムを開発した。これを活用した実験的ワークショップを東京都千代田区とフィンランド(フィンランドは下記の別予算)においておこなった。 (3)「コミかるた」をはじめとする本研究の成果報告を内外でおこなった。 (4)「地域メディア実践」の海外候補地として台北を考えてきていたが、窓口となる研究者の急逝が逝去したことから断念をした。一方で、年度途中に水越が学振二国間交流事業共同研究(略称Storyplacing「空間情報を組み込んだデジタル・ストーリーテリングの共創的デザイン」)でフィンランドとの共同研究を進めることが決定し、その研究目的などを本科研費研究とあらかじめ合致させていたため、本科研費研究の開発成果を積極的に活用していくこととなった((2)であげたフィンランド出張はこちらの経費でまかなった)。以上の経緯から、本科研費研究を1年度間延長する申請をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)「地域メディア実践」については、すでに「コミかるた」(24年度)、「中央区メディア・コンテ」「美唄50音かるた」(25年度)を終え、音のDSTである「Telephonoscope」の開発と実験を進めており、各地の循環型メディア共同体を形成し、それを持続的なプログラムとして地域住民に手渡すことができており、予定以上の成果をあげたといってよい。 しかしやむを得ぬ事情から台北での実践を断念したため海外実践は達成できなかった。一年度間の期間延長をおこない、27年度にフィンランドで実践することが決まっており、遅れを取り戻したい。 (2)「メディア共同体デザイン」については「システム0706」を開発、実践することができた。「地域メディア実践」と総合して、その発展を図っていく予定である。 (3)研究成果の発表や出版については、発表は予想を上回るかたちだが、出版が遅れ気味である。可能な限り英語での出版、発表を心がけていく。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)「地域メディア実践」は、「Storyplacing」のフィンランドとの交流事業共同研究とうまく連携させ、国内とフィンランドの実践をおこなって、比較文化論的検討をおこなっていく。 (2)「メディア共同体デザイン」は、「地域メディア実践」とむすびつけつつ、「System0706」をさらに発展させた技術基盤の開発と、その実践的研究を進める。 (3)年度内に成果報告のセミナーをおこなう。 (4)内外で成果の出版をはかっていく。
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Causes of Carryover |
台湾政治大学と連携して「地域メディア実践」を予定していたが、台湾側の窓口である呉翠珍先生が5月下旬に逝去されたため、もろもろの経緯から台湾実践を断念せざるを得なくなった。その代替として先述の共同研究Storyplacingに参画するヘルシンキ大学、アールト大学の関係者らと連絡を取り、約半年の学事暦のズレから平成27年度中であれば実践可能という確約を得た。 以上のために次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
フィンランドでの「地域メディア実践」に必要な技術基盤のバージョンアップをおこない、同国に滞在しながら実施する(滞在費はStoryplacingから、開発費などは本科研費研究から)。それらを踏まえた総括研究イベント、および内外の学会、学術誌での発表、本研究で開発するオンライン・メディア上での成果発表を進める。 以上のために使用する予定である。
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Remarks |
「コミかるた」は「地域メディア実践」の実践研究用ウェブサイト、「メディア・コンテ」「美唄50音かるた」「美唄あぜ道ピクニック」までは「地域メディア実践」の実践記録のウェブサイト。「5:Designing Media Ecology」は「メディア共同体デザイン」の成果の一部を掲載している。
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Research Products
(14 results)