2014 Fiscal Year Annual Research Report
無形文化財の伝承を目的とした立体映像の記録・呈示に関する研究
Project/Area Number |
24603016
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石井 達郎 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 助教 (10363392)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 立体映像 / デジタルアーカイブ / 映像表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、デジタルアーカイブにおける立体映像の有効な適用法について検討することであり、二つの課題に大きく分けて研究を遂行した。ひとつは、無形文化財の立体映像アーカイブを通した、伝承、教育を目的とした立体映像呈示技法を検討することである。そしてもうひとつが、立体映像データを用いた地域振興に資する立体映像コンテンツの制作および公開を通した立体映像の有効性を検証することである。平成24年度から26年度までの3年間を通して、豊前岩戸神楽を対象とし、黒土神楽講の協力のもとで、三十三番といわれる全演目の立体映像記録を行った。24年度は神楽に特化した立体撮影手法を検討し、また神楽を鑑賞するための最適な立体映像呈示法についても検討した。25年度は、それらに基づいた神楽の立体映像コンテンツを制作、九州国立博物館における展示上映を行い、デジタルアーカイブにおける立体映像コンテンツの有効性を検証、確認した。26年度においても引き続き立体映像コンテンツを制作、展示上映を行い、豊前神楽の勇壮かつ迫力ある舞いを多くの人に知ってもらうことができた。そして同年度は、記録した映像資料を用いた神楽の伝承、教育のための立体映像呈示技法について検討した。大型のスクリーンおよびプロジェクタを用いた等身大の立体映像呈示システムを構築し、神楽講に所属する児童に対する呈示実験を行った結果、等身大の映像で舞いの形や、空間の移動量は把握しやすいといった評価があった。しかし立体視に必要な専用のメガネを装着しながらの激しい舞の練習は困難であることが明らかとなり、立体映像を即時的に視聴しながらの練習は現実的ではない結果となった。本研究においては、立体映像による効果的な伝承法を確立することを目的としていたが、今後はモーションデータの取得とCG化、ウェアラブル端末を用いた2D映像も取り入れた効果的な伝承コンテンツに関する研究を進める。
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